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中国軍を睨む西太平洋に米空母不在 地域の守りが手薄に?

Map Shows U.S. and China's Aircraft Carriers in Pacific This Week

2024年8月27日(火)18時36分
ライアン・チャン

原子力空母ジョージ・ワシントン(太平洋東部)

ジョージ・ワシントンは米海軍によって8月1日から正式に日本に前方配備される空母に指定された。同艦にとって日本への配備は2度目になる。

秋には横須賀海軍基地に配備される予定で、米海軍は7月末にノースアイランド海軍航空基地で原子力空母「ロナルド・レーガン」と「ジョージ・ワシントン」の艦交代を実施。ジョージ・ワシントンは22日に同基地を出港したことが確認されている。

原子力空母ニミッツとロナルド・レーガン(米ワシントン州ブレマートン)

20日時点で入手可能な衛星写真によれば、原子力空母「ニミッツ」もロナルド・レーガンも米ワシントン州ブレマートンにあるキットサップ海軍基地のピュージェット・サウンド海軍造船所に停泊している。ロナルド・レーガンは9年間にわたって日本に前方配備されてきたがその任務を終え、現在はメンテナンス中だ。

ノースアイランドを母港とする原子力空母「セオドア・ルーズベルト」と「エイブラハム・リンカーン」は現在、中東に配備されている。米中央軍は21日にエイブラハム・リンカーンが中東に到着したと発表しており、セオドア・ルーズベルトについては22日時点でオマーン湾を航行中であることが衛星写真で確認されている。

両空母は米西海岸から太平洋に配備される予定だったが、イスラエル・イラン間の緊張の高まりを受けて米国防総省が中東への派遣を決めた。

これにより中国のハードパワーが高まりつつある西太平洋にすぐに展開可能な空母がなくなった。米国防総省は同地域の守りが手薄になったことについて懸念する声を一蹴しているが、アナリストらは、米海軍は空母に代わる手段を見つけるのに苦慮するだろうと指摘している。

中国人民解放軍海軍

空母「遼寧」(山東省青島市)

旧ソ連製の艦船を購入・改修した中国初の空母「遼寧」は、8月18日時点で青島の母港に停泊している様子が衛星写真で確認されている。

空母「山東」:南シナ海

21日時点の衛星写真によれば、中国海軍の2隻目の空母「山東」は、海南省南部に位置する母港・三亜の南方を航行中だ。

日本の統合幕僚監部によれば「山東」を含む計4隻の中国軍艦船はフィリピン海(沖縄県宮古島の南方海域)で活動し、翌日には南シナ海に向けて航行していった。

空母「福建」:上海

22日時点の衛星写真によれば、中国海軍の3隻目となる最新型の空母「福建」は、同空母が建造された上海の江南造船所にとどまっている。「福建」は最近、中国北東部の黄海と渤海で約1カ月に及ぶ試験航海を終えたところだ。

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