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「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

THE WRONG PATH

2024年5月6日(月)11時10分
ブラマ・チェラニ(インド政策研究センター教授)

中国はまた、ロシア産の石油やガス、穀物を安く調達できるようになった。中東などから海上輸送するのと違って、ロシアからなら陸路で安全に原材料を確保できる。

それは、いつか台湾を手に入れたい中国にとって、予想される制裁の影響を軽減できることを意味する。


中国は20年以降、核備蓄を増大させ、通常戦力も急速に増強してきた。だが、欧米諸国の目がロシアを向いているため、中国は軍備増強に待ったをかけられるどころか、厳しい監視下に置かれることもなかった。

しかし欧米諸国にとっても、ルールに基づく国際秩序にとっても、中国はロシアよりもはるかに大きな脅威だ。

ロシアの野心は基本的に近隣国に限定されているが、中国はアメリカに取って代わることを目指している。中国の人口と経済規模はロシアの約10倍、軍事費はロシアの約4倍だ。

欧米諸国は、中国のアグレッシブな台頭を助けたり、世界の国々を遠ざけたりする経済制裁が最終的にどのような結果をもたらすかよく考えるべきだ。

対ロシアに注力して、真の敵である中国への対応を怠れば、国際金融の分野はもちろん、国際秩序の頂点の地位も失うことになりかねない。

©Project Syndicate

newsweekjp_20240325025534.jpgブラマ・チェラニ
BRAHMA CHELLANEY
インドにおける戦略研究・分析の第一人者。インド政策研究センター教授、ロバート・ボッシュ・アカデミー(ドイツ)研究員。『アジアン・ジャガーノート』『水と平和と戦争』など著書多数。

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