ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクライナの次」に侵略すると脅される
Neighbor deals major blow to Russia amid sanctions, invasion threats
トカエフはまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも数回にわたって会談を行い、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による動員令を逃れるために出国した大勢のロシア人を自国に受け入れてきた。
ロシアの戦争支持派の間では、カザフスタンがロシア支持に消極的だという怒りの声が上がっている。
たとえばロシアの前大統領で現首相のドミトリー・メドベージェフは、カザフスタンを「似非(えせ)国家」だと一蹴し、「スラブ人」の下にソビエト連邦を復活させるべきだと呼びかけた。この週末には、カザフスタンがこのまま態度を変えなければロシアとして軍事行動で対応する可能性があると示唆するアンドレイ・グルリョフ議員の発言音声が流出した。
このような考え方は新しいものではなく、2022年11月には政治アナリストであるドミトリー・ドロブニツキーはロシア政府のプロパガンダ拡散役を担うテレビ司会者、ウラジーミル・ソロビヨフの番組に出演し、カザフスタンはロシアにとって脅威になり得ると述べていた。ドロブニツキーは同番組の中で、ウクライナ政府はファシストだとするロシア政府の主張を引き合いに出し、「(ウクライナの)次の問題はカザフスタンだ。ウクライナで起きているのと同じナチ化が、カザフスタンでも始まる可能性があるからだ」と述べていた。
対ロ制裁の「抜け穴」
カザフスタンの国民もロシアの動きに注目している。2023年5月にカザフスタンの非政府組織「メディアネット」と「ペーパーラブ」が1100人を対象に行った調査では、ロシアがカザフスタンに侵攻する可能性があると考えている人の割合が前回調査の8.3%から15%に増加した。
しかしカザフスタンはロシアを見捨てた訳ではない。西側諸国が対ロ制裁を強化するなか、カザフスタンはロシアにとって、最先端兵器に必要な技術を入手するための制裁回避ルートの役割を果たしている。
たとえばカザフスタンのマイクロチップ輸入額は、2021年には3500万ドルだったが2022年には7500万ドルに増加。これに伴いカザフスタンからロシアへのマイクロチップの輸出額も、2021年の24万5000ドルから2022年には1800万ドルに増えている。ジャーナリスト団体「組織犯罪と汚職報道プロジェクト(OCCRP)」の2023年の報告書によれば、カザフスタンはロシアへのドローン供給の中継地の役割も果たしている。
カザフスタンのセリク・ジュマンガリン貿易・統合相は2023年夏、米政府が資金提供するメディア「自由欧州放送(RFE/RL)」に対して、全ての制裁対象品目の対ロ輸出を止めることはできないと説明。カザフスタンに提供されたリストには、「制裁対象として7000種類もの品目が記されていた」と述べた。
「西側諸国には、『全てを阻止または追跡することは不可能だ』と告げた」と、ジュマンガリンは語った。