イスラエルのガザ侵攻に準備万端のハマス 地上戦は長期化の恐れも
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに地上侵攻すれば、待ち受けるイスラム組織ハマスは手ごわい相手になる。写真はガザ地区とイスラエルの境界線付近で、イスラエル側を通行するイスラエル軍の戦車(2023年 ロイター/Ronen Zvulun)
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに地上侵攻すれば、待ち受けるイスラム組織ハマスは手ごわい相手になる。イランの支援を受け、ロケット攻撃などを行う戦闘員が素早く退避するための広大な地下トンネル網をハマスは構築。過去の地上戦でもイスラエル側にそれなりの犠牲を強いてきた経緯があるからだ。
イスラエルはガザとの境界付近に戦車を集結させ、閣僚らは地上侵攻について開始するかどうかではなく、開始時期の問題になっていると示唆する。イスラエルの安全保障関係者や専門家によると、軍幹部は2008年と14年のハマスとの地上戦から得た教訓に目を向けそうだ。
だが、ハマスは当時よりも勢力が増し、その結果として今月7日にイスラエル側に強襲攻撃を仕掛けられたと言える。
こうした中で地上戦が始まった場合、どういう展開になるかはイスラエル、ハマス双方とも正確には読み切れない。
イスラエルはこれまでにない規模の作戦を展開し、ハマスを「地上から一掃する」と断言。ハマスも過去の戦いで生き残る力と奇襲能力を証明しており、今回も強力な武器を駆使し、人口密集地域を拠点に反撃してくるだろう。
ガザで活動するあるパレスチナ武装組織幹部は「地上侵攻は、占領者(イスラエル)とその軍隊が未知の領域に飛び込むのに等しい」とロイターに語った。
イスラエル当局も、地上作戦が迅速に進むとも、簡単に行くとも考えていないとの姿勢を明確に打ち出している。
特に今回は、ハマスが7日の攻撃で多数のイスラエル人を人質にして、イスラエル軍が「ガザ地下鉄」と呼ぶ地下トンネル網に拘置している恐れがあり、軍部隊がこのトンネル網を制圧しない限り、ハマスの壊滅は難しい。
イスラエルの安全保障関係者の1人は、ロイターに「作戦目的はハマスの軍事能力と装備一式を破壊することにあり、長い時間が必要になる」と説明。標的の大半は地下にあり、まずは地上の敵を一掃しないと地下壕にたどり着けないと付け加えた。
ガザの人口は230万人に達するため、地上作戦は民間人の死者が増大するリスクがあり、これもイスラエル側の軍事計画に困難をもたらしている。