日本の他殺被害者のうち0歳児が断トツで多い理由
虐待が高じ、幼い命が奪われるケースもある。厚労省の内部統計に当たってみると、2013~22年の10年間で、「他殺」という死因で亡くなった6歳未満の乳幼児は190人。多くが家族による虐待死だろう。各年齢の他殺被害者数をつないだグラフにすると、驚くべき事実が出てくる<図2>。
大人も含めた他殺死亡者数だが、0歳の乳児がダントツで多い。望まない妊娠・出産による遺棄や虐待死と推測される。加害者には、妊娠を届け出ず、行政や医療との接点を持たないで出産した女性が多いという(厚労省)。若年出産や貧困という要因が加わると、孤立(抱え込み)の闇はさらに深くなる。相談機関の情報をSNS等で提供する、妊娠の確定診断の費用を補助するといった支援が求められる。
児童虐待の防止には人員が必要となるが、現状では不足している。世の中には「公」と「私」の仕事があり、成熟社会になるにつれ前者の比重が増してくる。日本の労働者の公務員比率は10%ほどだが、北欧の諸国では半分近くにもなっている(ISSP 2019 - Social Inequality V))。ロスジェネの活用等も視野に入れ,公務員を増やすことも検討すべきだろう。
<資料:「ISSP 2012 - Family and Changing Gender Roles IV」、
厚労省『人口動態統計』>