「マイノリティ優遇」は憲法違反...人種に基づく「差別是正措置」に反対する声がアメリカで多数派になり始めた意味とは?
End of an Unpopular Law
「だが法律の上で人種を無関係と見なせば、実生活もそうなるわけではない。この国の過去と現在から懸け離れた最高裁は、アメリカの現実的な問題の解決に向けて、ノースカロライナ大学などの高等教育機関が行う重要な取り組みへ介入しようとしている」
最高裁は過去に、特定の背景を持つ学生に一定数を割り当てるクオータ制は必ずしも必要ではなく、その他の要素も考慮すべきだとの判断を示していた。既にカリフォルニアやミシガン、フロリダなど計9州がアファーマティブ・アクションを禁止している。
学生やその親から成るSFFAの会員は2万人以上。創設者のエドワード・ブラムは保守派活動家で、米各地の大学にアファーマティブ・アクション廃止を求めてきた。
有名なケースが2008年、テキサス大学オースティン校を不合格になった白人女子学生アビゲイル・フィッシャーを原告として、同大学を訴えた一件だ。この訴訟は長年、連邦裁判所で争われた後、16年に最高裁がフィッシャーの敗訴を言い渡した。
先住民の学生が90%減少
以前は株式ブローカーだったというブラムは、企業の多様性推進プログラムなど、入学選考以外での優遇措置の排除にも力を入れている。
「エドワード・ブラムは裕福な白人実業家だ」と、カリフォルニア大学リバーサイド校のウーマ・ジャヤクマル准教授(高等教育・政策)は本誌に語る。「アファーマティブ・アクションの廃止を使命とし、問題提起のため、アジア系アメリカ人や白人女性を意図的に取り込んでいる」
ノースカロライナ州連邦地方裁判所でのSFFA対ノースカロライナ大学の訴訟で、専門家として証言したジャヤクマルは大学側の勝訴に貢献。SFFAが上訴した最高裁訴訟では、大学の措置を支持する社会学者1246人が署名した陳述書を取りまとめ、共同執筆した。
「アファーマティブ・アクションは、総合的な評価プロセスの要素の1つとして人種を捉える。楽器演奏の才能など、志願者が持つ他の要素と同様の位置付けだ」と、ジャヤクマルは言う。
「人種を考慮することは、黒人などの学生が入学選考プロセスにおいて、完全な自分自身として存在できることを意味する。人種の考慮が許されなければ、あなた自身であることを認めないとのメッセージを発することになる」