「マイノリティ優遇」は憲法違反...人種に基づく「差別是正措置」に反対する声がアメリカで多数派になり始めた意味とは?
End of an Unpopular Law
カリフォルニア州では、1996年の住民投票でアファーマティブ・アクション禁止が決まった後、カリフォルニア大学の中でも競争率の高いキャンパスのマイノリティー入学者数が50%、またはそれ以上減少している。これは、同州の人口統計上の変化に即さない傾向だ。
95年当時、州内の公立高校卒業生にマイノリティーが占める割合は38%で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校入学者にマイノリティーが占める割合は29%だった。21年には、前者が58%に増加したのに対し、後者は33%にとどまっている。
最高裁のジャクソン判事の口頭弁論には説得力があったと、ジャヤクマルは言う。黒人学生と白人学生の間で人種が考慮の対象にならなければ、白人学生の体験だけが考慮され、黒人学生の体験は「検閲」される――それがジャクソンの発言の要旨だ。
ミシガン州では06年、住民投票で公立大学のアファーマティブ・アクションが禁止されて以来、ミシガン大学の学生の多様性に大きな影響が出ている。地元紙によれば、黒人学生の割合は7%から4%に低下。アメリカ先住民の学生の割合は90%減少している。
同じ現象が米各地の大学で起きるのではないか。ミシガン大学のエバン・キャミンカー教授(憲法学)は、今回の最高裁の判断に先立ち、本誌にそう懸念を語った。
「この16年間、特定人種を優遇しない形で、学生の多様性を強化する措置に多大な資金と努力を費やしてきた。だが私たちの大学は今も、アファーマティブ・アクション廃止の影響から立ち直っていない。ハーバード大学やノースカロライナ大学、アメリカの公立・私立大学のほぼ全てが、同様の状態になっても不思議ではない」