米最高裁、バイデンの学費ローン免除は無効と判断 米経済にも逆風、景気減速を前倒しか
米最高裁がバイデン政権が掲げていた大学学費ローンの返済一部免除策は無効との判断を示したことを受け、年後半とみられていた景気減速が前倒しされる可能性が出てきた。写真は2022年10月、ホワイトハウスで学費ローン免除について話すバイデン大統領(2023年 ロイター//Leah Millis)
米最高裁が30日、バイデン政権が掲げていた大学学費ローンの返済一部免除策は無効との判断を示したことを受け、年後半とみられていた景気減速が前倒しされる可能性が出てきた。5000億ドル近いローンの返済負担が再び家計に重くのしかかるためだ。
米家計が抱える教育ローンの総額は総額1兆6000億ドル。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)期間中はローン返済が一時猶予されていたため、約3年ぶりにローン返済が再開されることとなる。
先にニューヨーク連銀が行った調査によると、バイデン政権の返済免除策は約4400億ドルのローンが対象となっており、学生ローン利用者の40%が負債を免除されるはずだった。
エコノミストらは、学生ローンの返済再開は個人消費に大きな影響を与えると予想している。ただ、それがどの程度深刻なものになるかについては見解が分かれている。
ジェフリーズの米国エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は、返済が再開されればすぐにでも、個人消費にかなり大きな影響が出ると予想。「これが景気を後退させる転換点になるとみている」と警告した。
一方、モルガン・スタンレーのエコノミストは、年末数カ月の経済成長に、小幅ながら目に見える形で影響を与えると予測している。ジェフリーズとは異なり、米国の景気後退はないとみているが、個人消費が打撃を受け、国内総生産(GDP)成長率を6─9ベーシスポイント(bp)を押し下げる可能性が高いとの見方だ。
モルガン・スタンレーは、毎月支払う金利額は一般的に200─300ドルであり、これは対象となる人の可処分所得が返済猶予が維持されていた場合と比較して毎年0.3─0.5%減少する可能性が高いことを意味すると指摘した。