「折り畳んで持ち帰った」──21歳の階級の低い兵士による機密文書の流出は「謎」ではなかった
ここで、セキュリティー上の重大な疑問が持ち上がる。前出の元情報将校によれば、JWICSのシステムは、いつ、どの文書が印刷されたかという記録を残しているはずだ。
この点を考えると、誰かがどこかの段階で情報漏洩の可能性に気付いてしかるべきだった。それに、基地から退勤しようとする人物の手荷物検査は行われていなかったのか。
もう1つ問われるべきなのは、機密性の高い文書を取り扱う人物に対して抜き打ちの噓発見器検査を行っていないのかという点だ(以前は実施されていた)。
このような検査を行えば、ある程度の抑止効果が期待できるだろう。そして、JWICSのアクセス制限をもっと厳格化する必要もあるかもしれない。必要のある人物だけが必要な範囲に限って情報にアクセスできるようにするのだ。
加えて、誰かが機密性の高い文書を印刷したり、長時間閲覧したりする際には、別の同僚による作業確認を必須とするべきだろう。
機密性の高い情報を扱う政府職員や兵士の大多数は、ルールを守って適切に行動している。しかし、ごく一部の人間がルールを破るだけでも甚大な被害が生じかねない。
しばしば指摘されるように、多くの、というより大半の機密文書は、そもそも機密扱いする必要のないものだ。しかし、本当に機密扱いにすべき文書もある。テシェイラが流出させた文書の一部は、まさにそのような文書だった。
米政府がシステムのセキュリティー強化に乗り出すべきであることは間違いない。
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