最新記事

選挙

台湾統一地方選で与党敗北 蔡英文は党主席辞任、総統は継続

2022年11月27日(日)11時43分
台湾の蔡英文総統

台湾統一地方選は与党・民主進歩党(民進党)が敗北し、圧力を強める中国に結束を示す機会と訴えていた蔡英文総統(写真)は兼務する党主席(党首)の辞任を表明した。台北で撮影(2022年 ロイター/Ann Wang)

26日に投開票された台湾統一地方選は与党・民主進歩党(民進党)が敗北し、圧力を強める中国に結束を示す機会と訴えていた蔡英文総統は兼務する党主席(党首)の辞任を表明した。

最大野党の国民党は21の県・市長選のうち、台北を含む13ポストで優勢または勝利を宣言。民進党は5つのポストにとどまった。おおむね予想通りで、前回2018年の地方選と同様の結果となった。

自治体の首長が対中政策に直接的な影響力を持つことはなく、地方選挙は一般的に新型コロナウイルス対策や治安といった域内問題が争点となる。しかし、蔡総統は今回の選挙を地方選以上のものと位置付け、中国との軍事的緊張の中で台湾がどのように民主主義を守るかを世界が注視していると語っていた。

蔡氏は党本部で記者団に対し「結果はわれわれの期待通りではなかった。謙虚に結果を受け入れる」と語り、18年の選挙後と同様に党主席を辞した。

24年まで総統を続ける蔡氏は「われわれには後悔している暇はない。落ちても、また立ち上がる」と述べた。蘇貞昌行政院長(首相)から辞任の申し出があったものの、慰留したことも明らかにした。

一方、国民党の朱立倫主席(党首)は勝利を喜びつつ、台湾の自由を守るとも表明。記者団に「われわれは中華民国(台湾)を守り、民主主義と自由を守る」と述べ、地域の平和維持に尽力する意向を示した。

中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室は選挙結果について、台湾の主流世論が平和、安定、「良い生活」を求めていることを示しており、中国は台湾の人々と共に平和的関係を促進し、台湾の独立と外国の干渉に反対し続けると表明した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中