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犯罪中国人4万人をフィリピンから強制送還...詐欺、人身売買、監禁など周辺国にも問題拡大
中国人顧客を集めるオンラインカジノは急成長 ERIK DE CASTROーREUTERS
<東南アジア各国に数年前に出現し、急成長したオンラインカジノだが、犯罪の温床になっているとして中国人労働者たちの強制送還が決まった>
オンラインカジノを運営する175社の営業を停止し、従業員の中国人労働者約4万人を強制送還する──フィリピン司法省が9月26日、そんな決定を発表した。理由は業界にはびこる「犯罪活動」だ。
フィリピンを営業拠点とするカジノ業者が出現したのは、ドゥテルテ前政権が発足した2016年。顧客も従業員も中国人が主で、中国人向けの渡航ビザ要件を緩和したドゥテルテの下、業界は繁栄した。
中国の犯罪集団の関与が示唆されるオンラインカジノは16年以降、カンボジアやラオスでも急成長している。だがコロナ禍の、特にカンボジアでは、多くの業者がオンライン詐欺に移行。人身売買が横行するこの分野では、高収入を誘い文句にアジア各国から人を集めて監禁状態にし、自国の言語で詐欺電話・メッセージを送信させている。
同様の事態がフィリピンで起きている可能性は十分にある。業界の成功の裏に潜む闇を考えれば、当局が禁止に踏み切るのは時間の問題だろう。
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