米中「離婚」はやっぱり無理? 戦略なき対中強硬路線が自滅を招く
NOT DIVORCED JUST YET
「明確な戦略を持たない米政府は、中国との技術的相互依存の抑制には不十分、または過度な行動に出るリスクがある。なかでも、無秩序で制御不能なデカップリングを偶発的に引き起こすかもしれない」
グリーンバーグは戦略国際問題研究所での講演でこう述べた。「同じ実験は既に行われている。アメリカはかつて、中国への衛星技術輸出を一方的に規制した。結果的に米企業は収益を失い、空白を埋めた欧州の競合企業が大きな利益を手にし、中国は求めていた能力を得た」
実際、商用人工衛星の世界市場にアメリカが占めるシェアは75%に上っていたが、1999年の規制強化の約2年後には45%に激減している。
同様のリスクを抱えるのが半導体分野だ。その複雑なサプライチェーンは北京から米中部まで広がり、同分野での米中双方のイノベーションに付加価値をもたらしている。
人工衛星に起きたことは半導体にも起きる可能性がある。ボストン・コンサルティング・グループが20年に発表した研究によれば、本格的なデカップリングは半導体分野の主導権を短期的に韓国へ譲り、長期的には中国に手渡すことになりかねない。
もうはっきりしている。別れるのは簡単、ではないのだ。
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