最新記事
子育て

部屋を「片付けなさい」はNG 子供の自己肯定感を伸ばす、正しい「声かけ」の方法

2022年1月21日(金)17時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

子どもの成長段階によって、友達とうまくやったり、物事に対する粘り強さや気持ちのコントロールが難しかったりすることもあるだろう。「達成力」「仲間力」「感情力」はそのどれか一つで成立するものではなく、全部が少しずつ混ざり合って自己肯定感になっていく。「達成力がついてきたら、仲間力も上がった」なんてこともあり得る。

また、感情力があれば、ネガティブな心をポジティブにすることができる。それ以前に、達成力と仲間力があれば、ネガティブな状況が訪れにくくなる。このように、3つの力は混ざり合っていることが多いのだ。

これらの力はすぐに身につくものではない。急な変化は、すぐ元に戻ってしまう。しかし、じっくり時間をかけて変化したことは、習慣として、子どもの中に残りやすい。ポジティブな声かけが次第に子どもの心を強くしていく。

習慣化したいことも、そうでないことも「20秒」がポイント

では、具体的にどのように自己肯定感を育てていくのか。「達成力」から見てみよう。
たとえば、片付けの苦手な子どもに対して、片付けの習慣をつけさせたいとする。部屋が散らかっていることで、ストレスが溜まるだけでなく、物事を達成する気力は大きく落ちてしまう。そうしたときに、「片付けなさい」と言っていないだろうか。このときに、かけたい言葉は「一緒に片付けよう」である。

子どもが片付けができない理由は、面倒くさいということもあるが、「片付けの仕方がよくわからない」のかもしれない。やらないのではなく、途方に暮れている状態の可能性があるのだ。とくに小さいうちは一緒にやってあげる必要がある。そして、少しずつ、親の手から離れるように意識することも大切だ。

ハーバード大学の元研究者、ショーン・エイカーは、物事を長続きさせるコツは、20秒以内で取り組めるようにしておくことだとしている。つまり、習慣にしたいことは、20秒以内に取り組むようにできる環境を整えることが重要なのだ。

たとえば、ピアノの練習を始める前に楽譜をセットしておく、勉強が終わったら次のために必ず鉛筆を削って置いておくという工夫だ。ランニングを習慣にしたい人ならば、玄関に着替えを置いておいて帰ってきたらすぐに走りに行けるようにしておくといったことだ。

逆に、あまり習慣にしたくないことについては、20秒以上かかるようにしておけばいい。
子どものゲームとの付き合い方に悩む親は多いが、これも「ゲームをしたあとは、必ず箱にしまおう」と声をかけるといい。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ブラウン大銃撃、拘束の「重要参考人」釈放へ 事件

ビジネス

防衛費増額、国の要請に基づき準備と対応進める=三菱

ビジネス

中国万科、18日に再び債権者会合 社債償還延期拒否

ビジネス

中国11月鉱工業生産・小売売上高、1年超ぶり低い伸
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中