北京五輪ボイコットできない岸田政権の対中友好がクワッドを崩す
つまり、必ずしもバイデン政権の望む通りには動かないということになる。
バイデン政権もまた、他の国に強要するものではないと言ってはいるが、当然のことながらバイデン大統領としては自分の威信を保つためにも同盟国や友好国がアメリカの決定に同調してくれるのを望んでいるだろう。何と言ってもバイデンは大統領に就任するなり「国際社会に戻ってきた」と宣言したのだから。おまけにアメリカ国内ではひたすら支持率が低下し続けている。だから国内的にも「ほらね、私はこんなに反中的で人権重視なんだよ」というところを見せなければならない。
したがって岸田首相には「もちろん日本はアメリカと歩みを共にします!」と、即答して欲しかったにちがいない。
しかし岸田内閣は今のところ、アメリカの望む「反中的」方向には動いてない。
林芳正外相の反応
12月7日の日本の外務省報道によれば、林外相は外交的ボイコットに関して読売新聞記者の質問に対し以下のように回答している(一部抜粋)。
●米国政府の発表については承知をしておりますが、北京冬季大会への各国の対応についてコメントすることは、差し控えたいと思います。北京冬季大会への日本政府の対応については、今後適切な時期に、諸般の事情を総合的に勘案して判断をいたしますが、現時点では何ら決まっておらないということでございます。
●(諸般の事情に人権が入っているか否かという質問に対して)日本としては、国際社会における普遍的価値であります自由、基本的人権の尊重、法の支配、こうしたものが、中国においても保障されることが重要であると考えておりまして、こうした日本の立場については、様々なレベルで中国側に直接働きかけてきております。北京冬季大会への日本政府の対応については、今後そういったご指摘の諸点も含めて、適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案して判断をすると考えております。(引用以上)
なんとも曖昧模糊(あいまいもこ)として、ほぼ「逃げている」としか言いようがない。
親中まっしぐらに突き進む岸田政権
そもそも岸田首相は11月16日の時点で、ウイグル問題など人権侵害に関与した外国当局者らに制裁を科せる「日本版マグニツキー法」の制定を当面見送る方針を固めていた。G7の中でマグニツキー法を制定しない方向で動いているのは日本一国だけである。習近平への配慮からであることは言うまでもない。