最新記事

東シナ海

沖縄空域を中国ドローンが3日連続で飛行、自衛隊の共同訓練中に

Japan Keeps Intercepting China Military Drones and Spy Planes

2021年8月27日(金)17時52分
ジョン・フェン
中国の無人航空機

軍事パレードに登場した中国の無人航空機(2019年) THOMAS PETER-REUTERS

<日本が中国による東シナ海や南シナ海、台湾海峡への軍備拡張への危機感を強めるなかでの中国の動きは何を意味するのか>

日本の防衛省は8月26日、中国の軍事用無人偵察機(ドローン)および哨戒機が飛行するのを3日連続で確認し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させたと発表した。日本が現在、この近辺で複数のパートナー国とともに一連の共同訓練を行なっているなかでの出来事だった。

自衛隊の統合幕僚監部によれば、24日から26日までの3日連続で、中国の無人航空機(UAV)が目撃された。公表された無人機の画像は、航空自衛隊の戦闘機が撮影したものだ。

統合幕僚監部が発表した飛行経路の図解によると、自衛隊は24日に、中国の無人機TB-001が1機、東シナ海を飛行していることを察知。翌25日には、偵察用無人機BZK-005が1機と、人民解放軍のY-9哨戒機が1機、Y-9情報哨戒機が1機、飛行しているのを確認したという。

25日に確認された中国機3機は、宮古島と沖縄本島のあいだの宮古海峡を横切り、国際空域を通って西太平洋へと抜けていったと、統合幕僚監部の声明にはある。

防衛省は翌26日にも、TB-001が1機とY-9が2機、同じ経路を再び飛行したのを確認。その後、TB-001が偵察と攻撃の両方の能力を兼ね備えた無人機であることを明らかにした。なお共同通信によれば、人民解放軍の無人機による日本の領空侵犯はなかった模様だ。

近辺では海上自衛隊が軍事演習

これらの無人機が目撃されたのは、海上自衛隊が目撃現場の近辺で軍事演習を行っていた最中のことだった。海上自衛隊は8月24日、英空母「クイーン・エリザベス」と共同訓練を実施。防衛省によれば沖縄の南の海上で実施されたこの演習には、日本の護衛艦「あさひ」と、ヘリコプター搭載護衛艦「いせ」も参加していたという。

また、海上自衛隊は8月26日にフィリピン海で、米印豪の海軍とともに共同訓練「マラバール2021」を開始したと、アメリカ第7艦隊が報道発表している。日本、アメリカ、インド、オーストラリアは、安全保障のための国際的枠組み「クワッド(日米豪印戦略対話)」のパートナー国だ。

日本側はここ数カ月、中国による東シナ海や南シナ海、台湾海峡への軍備拡張に関する懸念の頻度と緊急性を高めてきた。7月に発表した2021年度防衛白書でも、「危機感」を訴えている。

一方、自民党幹部は台湾の与党に対し、二国での防衛協議の実施を呼びかけた。これは、インド太平洋地域の集団安全保障に非常に大きな影響を与える可能性をもつ動きだ。この協議は、8月27日にオンライン形式で行われた。

対する中国は、国防部報道官の譚克飛が26日、月例記者会見のなかで、日本は中国による軍事的脅威を誇張していると非難。「日本が中国を口実にして自国の軍備を拡張するのは大きな間違いであり、無責任である」としている。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ

ワールド

トランプ氏、北朝鮮の金総書記と「コミュニケーション

ビジネス

現代自、米ディーラーに値上げの可能性を通告 トラン

ビジネス

FRB当局者、金利巡り慎重姿勢 関税措置で物価上振
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中