最新記事

テロ

アフガニスタン首都カブール空港周辺で爆発、米軍・民間人70人超死亡 ISが犯行声明

2021年8月27日(金)10時39分
アフガニスタンの首都のカブール空港

米国防総省は26日、アフガニスタンの首都カブールにある空港周辺で少なくとも2回の爆発があり、米軍関係者や民間人などに死傷者が出たと発表した(2021年 ロイター/)

アフガニスタンの首都カブールにある空港周辺で26日、少なくとも2回の爆発があり、多数の民間人のほか、米軍関係者少なくとも13人が死亡した。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を発表した。

カブールの保健当局は民間人の犠牲者は60人に上ると発表。現地からの映像では、空港そばの運河で多くの遺体が確認された。

ISは系列のニュースチャンネルを通じ犯行声明を発表し、自爆攻撃によって約60人が死亡、タリバン兵士を含む100人以上が負傷したと主張。自爆攻撃を行った1人が「米軍の通訳と協力者」を狙ったと明らかにした。

米当局によると、当初12人だった米軍関係者の死者は13人に増加。2011年8月にヘリコプターが撃墜され、30人が死亡した事件以来の規模という。

バイデン米大統領はホワイトハウスで演説し、「われわれは許さず、忘れることもない。(実行犯を)捕らえて償わせる」と述べた。その上で、犯行声明を出した「イスラム国コラサン」(ISIS-K)への攻撃計画を策定するよう国防総省に指示したことを明らかにした。ISIS─Kは米国のほか、イスラム主義組織タリバンとも対立している。

米中央軍のマッケンジー司令官は、アフガンにはまだ約1000人の米国人がいるとし、退避を進めると指摘。空港を標的としたロケット弾や車両爆弾など、ISによるさらなる攻撃に備えているとした。

ISによる攻撃は、権力掌握後のアフガンに平和をもたらすと約束するタリバンにとっても難しい課題だ。タリバンの報道官は今回の攻撃を「悪の組織」の犯行と非難し、外国軍が撤退すればなくなると述べた。

空港周辺の脅威

土木技師のZubairさん(24)は、実行犯から50メートルの場所にいたという。「男女や子どもが悲鳴を上げ、多くの負傷者が病院に運ばれた」と証言し、爆発後には銃撃戦もあったと話した。Zubairさんはこの1週間、米国への渡航許可を持ついとこと共に国外へ脱出するため、空港内に入ろうと試みていた。

米政府と同盟国はISの脅威を理由に空港に近づかないよう、民間人に呼び掛けていた。

欧米諸国はこの12日間で約10万人を退避させた。ただ、バイデン氏が8月31日までの軍撤退を指示したことで、退避できない人も数千人に上ると認めている。

ホワイトハウスのサキ報道官は26日、アフガンからの出国を望むアフガン人全員を31日までに退避させるのは不可能との見方を示した。

撤退期限までの数日間は軍部隊の撤退に充てられる。カナダや欧州諸国はすでに退避終了を発表した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・タリバン大攻勢を生んだ3つの理由──9.11以来の大転換を迎えるアフガニスタン
・タリバンが米中の力関係を逆転させる
・<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

伊藤忠、西松建設の筆頭株主に 株式買い増しで

ビジネス

英消費者信頼感、11月は3カ月ぶり高水準 消費意欲

ワールド

トランプ氏、米学校選択制を拡大へ 私学奨学金への税

ワールド

ブラジル前大統領らにクーデター計画容疑、連邦警察が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中