G7「一帯一路」対抗策は中国に痛手か(その2)対アフリカ中国債務はわずか20%
対アフリカ債務は、中国が20%しか占めてないとすれば、残り80%は中国と無関係な国あるいは組織が投資しているわけで、その上でアフリカの貧困国や発展途上国が債務漬けになっているとすれば、論理的には残り80%の方の責任の方が大きいということになるだろう。
また返済した利息の総額の17%しか中国が占めてないとすれば、中国の利息は残り80%の債権者に比べて低いことになり、中国が高い利息で債務漬けにしているという論理も成り立たなくなる。
おまけに返せないかもしれないという、返済リスクの最も高いアフリカ15ヶ国への債権者として、中国はわずか15%の割合しか持ってないので、債務漬けで対象国を潰すような状況になっているとすれば、残り85%の国あるいは組織が何やら悪いことをしていることになる。
実際の状況から言うと、実は「民間」による投資の割合が一番大きく、世界銀行の統計によれば、ここ10年間ほどで約200%増になっているという。民間の債権者は、対象国の政府官僚などと個人的関係になり、お金は対象国政府官僚のポケットに入って、対象国の開発には貢献していない。言うならば横領で、しかも民間の場合は利息が高いので、債権者も儲かる仕組みだ。だから200%も増えた。
まさに「腐敗の構図」なのだが、ジュビリーのデータによれば、この「民間」には「中国は入ってない」ので、中国はこの「腐敗の構図」の中には入らないことになる。
どうすればG7インフラ投資新構想は成功し得るのか?
もう一つ、これらのデータから見えてくるのは、「中国はわずか20%の投資で、アフリカ諸国を掌握しているということになってしまう」という事実だ。
そうだとすれば、なんとまあ、「効率が高い」ことだろう。
効率が良くなければ、アフリカ諸国が中国に付いていくわけがないので、いったい中国はどのような方法でアフリカ諸国をリードしているのかをG7首脳は研究した方がいいということにつながる(中国の方法に関しては文字数が膨大になるので、ここでは省く)。
また資金を投入するに当たり、上述したG7首脳会談コミュニケの冒頭には「IMFからの支援を増強」と書いてある。
図2、図3によればIMFは4%しか占めていないので、世界銀行のデータによればアフリカ債務の総額は6,250億ドルだからIMFは228億ドル出し、中国は20%として計算すると1,250億ドル出していることになる。
1250億ドル(中国) - 228億ドル(IMF)=1022億ドル(=コミュニケ金額)
となることから、コミュニケの「1,000億ドル」という金額は、本稿で示したデータから算出されたものと推測される。
この金額で、ようやく中国の出資額とIMFの出資額が同等になる。