最新記事

アメリカ社会

マティス前米国防長官、2年間の沈黙破りトランプ批判「国の分断図る」

2020年6月4日(木)10時50分

トランプ米政権発足当初に国防長官を務めたジム・マティス氏は6月3日、2018年の退任以降の長い沈黙を破り、トランプ大統領は米国の分断を図っていると非難し、市民の暴動への対応に軍を動員すべきではないと訴えた。2019年9月9日、ニューヨークで撮影(2020年 ロイター/Gary He)

トランプ米政権発足当初に国防長官を務めたジム・マティス氏は3日、2018年の退任以降の長い沈黙を破り、トランプ大統領は米国の分断を図っていると非難し、市民の暴動への対応に軍を動員すべきではないと訴えた。

米国では先月25日に黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官に膝で首を押さえられて死亡したことをきっかけに、各地で抗議行動が続いており、一部で暴動化している。

マティス氏は米誌アトランティック(電子版)に掲載された声明で「ドナルド・トランプは私の人生において、米国民の結束に尽力しない初めての大統領だ。尽力しているふりさえもしない」と断じた。

「むしろわれわれを分断させようとしている。3年に及ぶこの意図的取り組みの結末をわれわれは目の当たりにしている」とした。

マティス氏はまた、米軍の指導部が、トランプ氏が1日にホワイトハウスのそばにある教会を徒歩で訪れ、聖書を掲げ写真撮影に臨んだ際に同行したことを批判。この直前に州兵を含む治安当局が平和的なデモ隊を排除していた。

エスパー現国防長官と米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長がデモが行われている場所を「戦場」と呼んでいることについても、「米国の都市を『戦場』とするいかなる考え方も拒否すべきだ」と強調した。

「ワシントンDCで見られたような軍動員の対応は、軍と文民社会の間に誤った対立を生み出すことになる」と警告した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・ドイツで知名度をあげたウイルス学者は、コロナ予防策への激しい反発にあっている
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・検証:日本モデル 西浦×國井 対談「日本のコロナ対策は過剰だったのか」
・「売春島」三重県にあった日本最後の「桃源郷」はいま......


20200609issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 4
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 5
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 6
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 7
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 10
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中