米大統領選、民主候補争いでバイデンが重要州制す 今後はトランプとの直接対決に照準
米大統領選に向けた民主党候補指名争いでは、左派のサンダース上院議員が撤退の瀬戸際に追い込まれる中、中道派のバイデン前副大統領が大統領選の鍵を握る重要州で勝利した。写真は12日、デラウェア州ウィルミントンでスピーチするバイデン氏(2020年 ロイター/Carlos Barria)
11月3日の米大統領選に向けた民主党候補指名争いでは、左派のサンダース上院議員が撤退の瀬戸際に追い込まれる中、中道派のバイデン前副大統領が大統領選の鍵を握る重要州で勝利した。この勢いに支えられてバイデン氏は、トランプ大統領との対決に照準を合わせることができるようになった。
バイデン氏は17日に実施されたフロリダ、アリゾナ両州を含む3州の予備選でサンダース氏に圧勝。両州は有権者が共和党、民主党のいずれにも揺れ動き得る激戦州として知られ、大統領を選ぶ上で鍵を握る。
新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大しているにもかかわらず、両州の投票は出足が好調で、多数の有権者が早めに投票を済ませた。民主党支持者の間ではトランプ氏打倒の熱意は依然として強いことがうかがえる。
エジソン・リサーチの調査では、女性やアフリカ系米国人、地方の白人を含む幅広い有権者層がバイデン氏の指名を確実にした。同じく大統領選の結果を左右するミシガン州の予備選をバイデン氏が先週に制した際にも、同様の調査結果が示されていた。
おそらく最も意味深いことは、2018年の中間選挙で民主党が米下院の多数派を奪回するのを支えた郊外の穏健派有権者層でバイデン氏の支持が広がったように見えることだ。
バージニア大学政治センターのアナリスト、カイル・コンディク氏は「高所得、高学歴の層が多い郊外地区で投票率が大きく上昇した。この地区はまさに、共和党の支持が2016年以降は低下し、かつて共和党を支持していた有権者の少なくとも一部は、民主党に投票することに従来よりも心を広く開いているように見受けられる」と述べた。
コンディク氏は、予備選の結果は大統領選を占う上で必ずしも信頼できる指標になるとは限らないと警告する一方、バイデン氏の成功はトランプ氏との対決で良い前兆になり得るとの見方を示した。
民主党は2016年以降、アリゾナ、フロリダ、ミシガンの3州を最も重要な州と位置付けてきた。16年の大統領選ではトランプ氏がこれら3州で勝利した一方、12年は再選を目指したオバマ氏が3州をすべて制した。