最新記事

中国

新型コロナウイルス肺炎、習近平の指示はなぜ遅れたのか?

2020年1月24日(金)12時00分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

習近平国家主席 Jason Lee-REUTERS

昨年12月8日に最初の感染者が出た新型コロナウイルス肺炎に関して、習近平は1月20日になって初めて重要指示を出した。なぜ遅れたのか?「野生動物捕獲摂取」や地方議会「両会」などから意外な事実が見えてきた。

感染人数の推移や場所などに関しては、すでに多くのメディアが時々刻々報道しているので、ここではストレートに隠蔽工作を「誰がやったのか」、そして「何のためにやったのか」に焦点を絞って考察したい。

地元政府の隠蔽工作:その1──野生動物保護法と食品安全法

まず最も注目しなければならないのは、ウイルスの発生源が野生動物なども売っていた海鮮市場(華南海鮮卸売市場)だということである。

今のところ感染源として注目されているのはタケネズミとか蛇などだが、この海鮮市場では100種類以上の野生動物を売っていて、1月22日の北京の地方紙「新京報」は、そのメニューと価格表一覧を掲載した

以下に示すのは、そのメニューと価格表である。

Endo200124_2.jpg

メニューによれば、タケネズミや蛇だけでなく、アナグマ、ハクビシン、キツネ、コアラ、野ウサギ、クジャク、雁、サソリ、ワニ......など、野生の動物が「食品」として日常的に売られているようだ。

それも調理して売るとは限らず、生のまま売ったり、目の前で殺したり、中には冷凍して宅配するというサービスもある。

問題は、このような野生動物を食べ物として売ることが許可されているのか否かということだ。

実は野生動物の捕獲や摂取を取締る法律はいくつもあり、特に2003年のSARS(サーズ)発生以来、さまざまな規制が試みられてきた。

たとえば「野生動物保護法」(第二十九条、第三十条)や「陸生野生動物保護実施条例」という観点や「食品安全法」あるいは刑法(第三百四十一条)においてさえ、さまざまな規制を設けている。

この野生動物メニューの中に、合法的なものもあるかもしれないが、100種類も供されていれば違法性のあるものも含まれているだろう。その入手方法となると、「養殖が許されている野生動物」もあれば「捕獲自身が禁止されている野生動物」もあり、ましていわんや「食べていい野生動物」となると数が限られる。

このような野生動物を食していること自体に違法性もしくは犯罪性がある。

そこで武漢政府の当局は、今回の新型コロナウイルスによる肺炎の発症を、できるだけ外部に漏らさないようにしたことが考えられる。特に中央政府に知られることを最も恐れたと考えていい。なぜなら以下に示す「全国両会」が間もなく開催されることになっていたからだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中東情勢受けた需要抑制対策、中長期的に検討も=赤沢

ワールド

イスラエル、イランがミサイル発射と表明 イエメンか

ワールド

日本の格付け「A+」に据え置き、見通しは「安定的」

ワールド

ミャンマー国軍トップが退任、大統領候補に 後任は側
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカートニー」を再評価する傑作映画『マン・オン・ザ・ラン』
  • 4
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中