台湾総統選「窮地に立つ習近平」に「温かな手」を差し伸べる安倍首相
北京政府はアメリカや日本など、ほぼすべての国に対して、中国に有利なように思想を傾かせるためのプロパガンダに全力を投じている。アメリカのシンクタンクでは、これを「シャープパワー」として警戒し始めているが、台湾などはシャープパワーの最前線であり、その「浸透ぶり」は民主主義を揺るがす危険な水域に達していた。
そこで「反浸透法」を可決して、中国からの「金にものを言わせた思想侵略」から台湾を守ろうと必死なのだ。民進党議員らは「中国が勢力を増してきていることは全ての国にとっての脅威だ」、「台湾人の人権を守るために反浸透法が不可欠だった」あるいは「反浸透法案は、台湾の民主的活動を汚染し、操作し、妨害するのを防ぐためのものだ」などと語っている(ロイター電など)。
アメリカが力を入れる台湾擁護
一方アメリカは2019年12月20日、トランプ大統領が「2020国防権限法案」に署名し、同法が成立した。同法は「2020会計年度(19年10月~20年9月)の国防予算」の大枠を決めるもので、今般は台湾の選挙に対する中国の干渉に強い関心を示し、2020年1月11日の総統選実施後に、関連の報告書を取りまとめるよう国家情報長官に要請している。
なんと、同法ではアメリカの国家情報機関に対して、「台湾が中国の動きを見極め、食い止めるのを支援し、自由で公正な選挙を行えるようにアメリカの情報機関が努力した」ことを米議会の関連委員会に報告する義務を要求しているのである。
つまり、アメリカの「国防権限法」と台湾議会の「反浸透法」はペアで動いていたのである。
トランプ大統領には、いろいろと問題もあるだろうが、しかし「自由と民主」を守るアメリカ議会はさすがだと、尊敬せずにはいられない。
同法にはほかにも、「アメリカは台湾とのサイバー・セキュリティー分野における連携強化」、「台湾との安全保障分野における交流強化や合同軍事演習の実施」、「台湾の防衛能力確保」などが盛り込まれている。また同法は「台湾旅行法に基づいた米台高官の交流促進」や「米軍艦による定期的な台湾海峡の通過を続行する」ことも強く要求している。
何よりも日本として注目しなければならないのは「同盟国やパートナーにも呼応を呼び掛けるべきだ」としている点だ。