最新記事

全米オープン

大坂なおみがたたえたココ・ガウフって?

CORI “COCO” GAUFF

2019年9月10日(火)17時00分
ニューズウィーク日本版編集部

大坂が妹のように気遣ったガウフとはどんな選手なのか? REX/AFLO

<インタビューに誘った相手プレイヤー「ココ」とは家族ぐるみの付き合いだった>

昨年に引き続き、9月8日に閉会した今年の全米オープンテニスにも涙の一幕があった。世界ランキング1位の大坂なおみが3回戦で15歳の新星コリ・ガウフをストレートで破った後、泣きじゃくるガウフを促して一緒にインタビューを受けたのだ。互いをたたえ合う2人の姿は世界から称賛を集めたが、大坂が妹のように気遣ったガウフとは一体どんな選手なのか。

「ココ」の愛称で親しまれるガウフは、今年のウィンブルドン選手権に彗星のごとく登場したアメリカ人選手だ。同大会に世界ランク301位ながら主催者推薦枠で出場し予選を突破すると、なんと本戦の初戦で元王者ビーナス・ウィリアムズにストレートで勝利。続く2、3回戦も見事に突破してベスト16入りを果たし、4回戦で敗れたもののグランドスラム(4大大会シングルス)デビュー戦で「ココ旋風」を巻き起こした。

大坂はガウフをインタビューに誘った理由について、「悲しみに暮れたままコートを去るのではなく」、観客に「胸を張って」直接語り掛けたほうがいいと思った、とワシントン・ポスト紙に語った。

この日、昨年の全米覇者である大坂に挑むガウフは、ニューヨークの会場で注目を一身に浴びていた。

そんな2人には共通点がある。ジョージア州アトランタ出身のガウフは、テニスの道に進むため家族でフロリダ州に移り住み、大学時代にバスケ選手だった父親によるコーチの下、ジュニアの部で躍進した。現在21歳の大坂も、同じくフロリダでテニス経験のない父親から指導を受けた。2人は打ち合いをしたこともあり、父親同士はよく話をする旧知の仲だという。

前回の全米決勝で王者セリーナ・ウィリアムズを破って初優勝した大坂は、優勝インタビューでつらい涙を流した。主審の判定に激高したウィリアムズがペナルティーを受けたことで、観客がブーイングを送ったからだ。自分と同じように家族ぐるみで大舞台に上り詰めたガウフを、涙ではなく拍手で送り出したかったのだろう。

<本誌2019年9月17日号掲載>

【関連記事】大坂なおみ選手の二重国籍が認められた!
【関連記事】傷心のセレーナ・ウィリアムズを癒やした、大坂なおみとの文通

20190917issue_cover200.jpg
※9月17日号(9月10日発売)は、「顔認証の最前線」特集。生活を安全で便利にする新ツールか、独裁政権の道具か――。日常生活からビジネス、安全保障まで、日本人が知らない顔認証技術のメリットとリスクを徹底レポート。顔認証の最先端を行く中国の語られざる側面も明かす。


20241008issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年10月8日号(10月1日発売)は「大谷の偉業」特集。【保存版】ドジャース地区Vと初の「50-50」を達成。アメリカは大谷翔平をどう見たか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:米大統領選で浮上のチップ非課税案、激戦州

ビジネス

アングル:テスラ運転支援技術、規制すり抜けライドシ

ビジネス

米国株式市場=ダウ最高値、雇用統計受け景気懸念が緩

ワールド

ハリス氏、アラブ系米国人指導者と会談へ 支持回復目
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大谷の偉業
特集:大谷の偉業
2024年10月 8日号(10/ 1発売)

ドジャース地区優勝と初の「50-50」を達成した大谷翔平をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    借金と少子高齢化と買い控え......「デフレ三重苦」の中国が世界から見捨てられる
  • 2
    米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシア製よりはるかにスマート
  • 3
    野原の至る所で黒煙...撃退された「大隊規模」のロシア軍機械化部隊、密集した車列は「作戦失敗時によく見られる光景」
  • 4
    羽生結弦がいま「能登に伝えたい」思い...被災地支援…
  • 5
    職場のあなたは、ここまで監視されている...収集され…
  • 6
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシ…
  • 7
    オアシス再結成で露わになる搾取...「ダイナミック・…
  • 8
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「…
  • 9
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 10
    新NISAで人気「オルカン」の、実は高いリスク。投資…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 3
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
  • 4
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 5
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシ…
  • 6
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平…
  • 7
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 8
    借金と少子高齢化と買い控え......「デフレ三重苦」…
  • 9
    NewJeansミンジが涙目 夢をかなえた彼女を待ってい…
  • 10
    米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 5
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 8
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 9
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 10
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中