中国、SNS総動員で香港デモ批判を世界に拡散 効果について疑問の声も
もっとも、中国政府がどこに向けてこのキャンペーンを展開しているのか、果たして効果は出ているのかは分からない、と専門家は話す。
米サイバーセキュリティー対策を手がけるファイアアイ社の情報アナリスト、リー・フォスター氏は、ツイッターやFBにおける偽アカウントを駆使したキャンペーンは「今一つあか抜けない」と指摘。4─5年前にロシアが手掛けた偽アカウントによる宣伝工作とはあまりにも差があると付け加えた。
香港大学ジャーナリズム・メディア研究センターのキン・ワ・フー准教授は、このキャンペーンが香港の域内に与える影響力は非常に小さいのではないかとの見方を示した上で「香港では地元メディアのコンテンツを使う人が多い」と語った。
中国メディアもこぞって批判
EXOの中国人メンバーであるチャン・イーシンさんは先週、他の中国人セレブに追随する形で、香港警察と中国領土の主権を支持すると表明した。
熱烈なファンのワンさんは、ネットの親衛隊仲間とともに香港デモ批判を投稿し始めた理由として、「大好きなお兄さん(チャンさん)が中国をこれほど愛している以上、私たちファンも彼を応援しなければいけない。だから私はインスタグラムに『香港は中国の一部』、『暴力拒否』、『香港警察は最高!』などのメッセージを書き込んだ」とロイターに説明した。
中国のインターネット検索最大手、百度(バイドゥ)が提供する掲示板の「バイドゥティエバ」では、3130万人の会員に対して、香港デモを批判する投稿やスローガンで海外のソーシャルメディアをあふれさせようという提案が相次いでいる。
中国国営テレビのCCTVは18日、国内屈指の視聴率を誇る夜のニュース番組で、ネットのこうした動きを報道。ニュースキャスターは「このところアイドルファンの女性からバイドゥティエバ、ネット市民、海外の学生まで香港と中国を愛するあらゆる人たちが、香港を守るために一致団結している」と伝えた。
また国営の英語チャンネルCGTNや新華社、共産党機関紙の人民日報は、ツイッターやFBで活発に香港デモを批判したり、中国政府の見解を表明している。
CGTNは21日、「逃げ隠れしなければならないのは、良いことではなく悪いことだからだ」とツイートし、懲罰を避けるため身元を隠したいのだと語る説明文を付けて、マスクで顔を覆うデモ参加者たちの動画を流した。
[上海 ロイター]
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