最新記事

中国

Huawei一色に染まった中国メディア──創設者が語った本音

2019年5月22日(水)18時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

Q:Googleが華為にサービスを提供しないと言っている。ヨーロッパなどでは非常に心配しているが、アンドロイドシステムを更新することができなくなるのではないのか?

A:Googleは責任感の強い、とても素晴らしい企業だ。今アメリカ政府を説得しようとしている。今はこれ以上は言えない。

(参照:3月25日付けコラム<グーグルよ、「邪悪」になれるのか?――米中AI武器利用の狭間で>)

Q:こういう状態がいつまで続くと思うか。

A:それはトランプに聞いてくれ。もっとも、私たちは多くの他の国にイノベーション基地を建設してもいい。あるいは、他の国から中国に来てもらってもいい。方法はいくらでもある。

Q:任総裁には、なぜか非常に落ち着いた穏やかな姿勢を感じるのだが、それはなぜか。そして、こういったリスクに備える意識はどこから来たのか?

A:いつも華為は叩かれてきた。だから常に危機感を抱き続けてきたので、いつどのような形でやられてもいいように準備してきた。生存のために早くからスペア・タイヤを用意している。これまで使わなかっただけだ。

(筆者注:華為はもともと中国政府に潰されるという危機感があったから、海外に事業展開を始めた。これらはYahooにおけるコラムで数多く書いてきたので列挙は省略する。)

Q:孟晩舟事件にしても、アメリカは対イラン問題を理由としている。この誤解を解くため、あなたはアメリカ政府、特に商務部や司法部と協議するつもりはあるか?

A:何を言っているんだい。私は既にアメリカ政府を起訴したではないか。法廷でアメリカが証拠を出せば済むことだ。私は法廷で弁護士とわたりあう。

Q:水面下のルートから話をするつもりはないのか?

A:私は水面下のパイプを持っていない。それとも君は私にトランプの電話番号をくれて、トランプとこっそり話をしろとでも言うのかい?

Q:「996」という問題があるが、西側諸国の働き方と中国とでは、大きな価値観の差がある(筆者注:「996」とは「朝9時に出勤して夜9時に退社、睡眠時間は6時間」という意味)。社内では、このバランスをどのように取っているのか。

A:労働時間に関しては西側諸国の労働法という価値観を尊重する。労働者の合理的な時間を保護しなければならない。しかし華為には使命感がある。使命感に燃えている。それがなかったら、何も創りだすことができない。

今年の春節には社員は誰も故郷に戻ろうとせず、車内で寝泊まりして頑張った。帰れと言っても帰らない。我が社にいる外国人の科学者でさえ、中国の科学者よりももっと強い使命感を抱いてくれているくらいだ。だから結婚する時間さえ取れていない。(この理由に関しては拙著『「中国製造2025」の衝撃』の中の華為の頭脳「ハイシリコン(海思)」の個所をお目通し頂ければご理解頂けるものと思う。)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中