「給与所得者の保護政策はどの国でも後退している」ジグレール教授の経済講義
●「......だった」とは、現在、ここまで進化した保護政策がすべてストップしているということ?
――そうなのだよ、ゾーラ。ユニセフによると、2017年、スペインの10歳以下の子どもの11パーセントは栄養不良の状態だ。ベルリンの貧困区の学校では、教師たちが毎朝、パンやミルクを持って学校へ行く。というのも、子どもたちの多くが朝食抜きで、お腹を空かして学校にくるからだ。空腹のあまり、普通の授業についていけないのだね。
一部の国では、財源不足から公共サービスを段階的に削っている。病院や公共交通機関、学校、高校、大学、港や空港、刑務所や警察までもだ。給与所得者の保護政策はどの国でも後退している。その結果、先の見えない不安定感が家庭に漂い、明日への不安が渦巻いている。排除が徐々に進んでいるのだ。
※第2回:「途上国支配に最も有効な方法は債務漬けにすること」ジグレール教授の経済講義
『資本主義って悪者なの?――
ジグレール教授が孫娘に語るグローバル経済の未来』
ジャン・ジグレール 著
鳥取絹子 訳
CCCメディアハウス
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