最新記事

人民解放軍

中国全人代、国防費を前年比7.5%増の20兆円超に GDP伸び率6.0−6.5%を上回る伸びに

2019年3月5日(火)15時17分

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は開幕に合わせて予算報告を発表し、2019年の国防費は前年比7.5%増の1兆1900億元(1774億9000万米ドル)を計上することを明らかにした。

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は5日の開幕に合わせて予算報告を発表し、2019年の国防費は前年比7.5%増の1兆1900億元(1774億9000万米ドル)を計上することを明らかにした。

同国の李克強首相は、19年の国内総生産(GDP)伸び率の目標を6.0―6.5%とした。国防費の増加率はこれを上回る。

中国はステルス戦闘機や空母、対衛星ミサイルなど新型軍事力の開発を進めており、国防費は世界から注目を集めている。

国防費の増加率は、18年が8.1%、17年が7%、16年が7.6%だった。その前の5年間は2桁増となっていた。

李首相は全人代で「防衛関連の科学技術におけるイノベーション創出に向けた取り組みを加速する」とし、「軍に対する絶対的な(共産)党の指導」を維持すると表明した。

南シナ海での領有権主張や台湾問題を背景に、中国の軍事力拡大は近隣諸国にとって脅威となっている。

李首相は「台湾の独立を求めるいかなる分離主義者の計画・活動にも断固反対し、これを阻止し、中国の主権と領土保全を断固守る」と述べた。

中国政府の広報官は、安全保障や軍事改革を実現するため、国防費の「合理的で適切な」増額を継続すると述べた。

同国は国防費の内訳を明らかにしておらず、近隣諸国や軍事大国からは透明性を欠くと批判されている。

オーストラリア国立大学(ANU)戦略防衛研究センターの客員フェロー、サム・ロゲベーン氏は「中国は長らく、軍は国境防衛のためにあると主張していたが、その定義は数年で拡大している。西側はその予算の使途に非常に関心があり、特に遠方に軍事力を行使できる兵器に用いられているかどうかに関心を抱くだろう」と述べた。

[北京 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米下院民主議員、ケネディ厚生長官を調査 鳥インフル

ビジネス

米建設支出、2月は前月比0.7%増 予想上回る

ワールド

米民主党主導州、トランプ政権を提訴 医療補助金11

ビジネス

米ISM製造業景気指数、3月は50割り込む 支払い
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中