最新記事
移民

ドイツ与党新党首クランプカレンバウアー氏、メルケルの移民政策を見直しへ

2018年12月10日(月)14時28分
ロイター

12月9日、ドイツ与党・キリスト教民主同盟(CDU)の新党首に選出されたアンネグレート・クランプカレンバウアー氏(写真)は、来年の欧州議会選の前に同党の移民政策を変更する計画を明らかにした。ハンブルグで8日撮影(2018年 ロイター/FABIAN BIMMER)

ドイツ与党・キリスト教民主同盟(CDU)の新党首に選出されたアンネグレート・クランプカレンバウアー氏は9日、来年の欧州議会選の前に同党の移民政策を変更する計画を明らかにした。

同氏はメルケル首相の側近だが、移民政策では首相のリベラル路線と決裂する可能性がある。

クランプカレンバウアー氏は7日の党首選で当選したが、同氏より保守色の強い対立候補メルツ氏との票差はわずかで、党内の分裂が浮き彫りとなった。

党内でも特に見解が割れているのが移民政策だ。

クランプカレンバウアー氏は、国内紙ビルト日曜版に「移民・安全保障問題について、専門家や、移民・難民政策を批判する人々と『ワークショップ型のディスカッション』を行い、具体的な改善に向けた作業を進めたい」と発言。「その結果を基に欧州議会選に向けた方針をまとめる」と述べた。

メルケル首相は2015年に開放的な移民政策を掲げたが、これを受け支持率が低下。地方選の敗北を受け、10月に党首を退くことを決めた。メルケル氏は2021年の次回連邦選挙まで首相にとどまる方針。

クランプカレンバウアー氏は、公共放送ARDで「良いものは継続し、変更の余地があるものは変更する」と述べた。

同氏は、党首選に出馬した他の候補ほど、メルケル氏の移民政策を批判していないが、移民に対するドイツ語の学習義務付けや犯罪歴のある移民の追放を主張している。

来年は東部3州で選挙が行われる。有権者の間では、移民に対する懸念を背景に極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が支持を伸ばしており、有権者の支持を取り戻すことが、クランプカレンバウアー氏の大きな課題の一つとなる。

[ベルリン 9日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中