米中間選挙の民意を出口調査から読み解く
The GOP Is Losing the Middle
共和党の内部には、トランプが選挙戦で移民問題への不安と怒りをあおった点を疑問視し、もっと経済に焦点を当てるべきだったと考える人もいる。
だが出口調査を見る限り、移民問題をあおったトランプ戦法は有効だった。経済を最大の争点に挙げた有権者の間では、共和党支持と民主党支持の差は20~30ポイントだったのに対し、移民問題を争点に挙げた人では50~60ポイントに差が開いた。移民問題に不安を抱く層に訴え掛けることで、トランプが共和党の票を掘り起こした結果だ。
だが長い目で見れば、コアな保守派の動員だけに注力した戦略は逆効果で、中道派の共和党離れを招く。出口調査では、保守派を自任する有権者の80%以上が共和党の候補に投票していた。だが自称「保守派」は有権者全体の36%でしかない。共和党はリベラル層だけでなく、有権者の3分の1以上を占める中道派の間でも22~26ポイント差で負けていた。
いかに粗野で横暴な人物を担いでも、一度は選挙に勝てる。次の選挙でも、上院の多数を維持した強みでコアな保守派を総動員すれば、惨敗は回避できるだろう。
しかし、この方法は長続きはしない。今回、共和党は下院の過半数を失った。次に失うものはもっと大きい。
<本誌2018年11月20日号掲載>
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