米中間選挙の民意を出口調査から読み解く
The GOP Is Losing the Middle
#MeTooの風吹かず
民主党はセクハラ問題が追い風になるとみていたが、どうやら両刃の剣だったようだ。被害を受けた女性の訴えが信じてもらえないことを「憂慮」または「非常に憂慮」するとした人は78%だったが、訴えられた男性に弁解の機会が与えられないことを「憂慮」または「非常に憂慮」するとした人も74%いた。
そして女性に肩入れする人は民主党に傾き、男性に肩入れする人は共和党に投票する傾向があった。セクハラを「非常に深刻」な問題とみた人は46%で、その多くは民主党に投票した。「ある程度深刻」と回答した人は38%で、そのうち50%が共和党に、48%が民主党に投票した。
もうひとつ、注目すべきデータがある。「政治的に正しい」姿勢を要求する圧力の存在について、投票者の66%は度が過ぎると答えていた。その意味するところは不明だが、民主党はこうした反応を引き起こした原因を解明すべきだろう。
銃規制問題は共和党に不利
一般に、銃の所有者は銃規制の問題を投票の決め手にするが、規制強化を唱える人はあまりこの問題を投票の決め手と考えないとされる。しかし今年は様子が違った。回答者中、規制強化を支持した人は59%、反対した人は37%だった。投票の決め手となった課題の中に銃規制を挙げた人は10%だが、そのうち70%は民主党に投票した。
また妊娠中絶の問題を最優先課題に挙げた人の多くは共和党に票を投じたが、銃規制を最重要とした人は圧倒的に民主党に票を投じていた。
暴力問題の影響はわずか
選挙の前に反ユダヤ主義や反黒人、反移民のヘイトクライムが頻発したが、トランプの対応はお粗末だった。だが共和党は政府に抗議する若者を民主党の「暴徒」と攻撃し、共和党のダメージを減らしたようだ。
「共和党支持者は暴力を引き起こすようなやり方で政治について語る傾向があり、民主党支持者はそうではない」という見解に賛同する人はその逆と答えた人と同程度だったが、「最近の過激派の暴力」を投票の決め手とした人は23%で、その多くは民主党に投票した。だが回答者の半数は、暴力の問題は重要だが決め手ではないと考えており、その中では民主党支持が共和党支持を少し上回る程度だった。
不発に終わったロシア疑惑
16年にトランプの選挙運動にロシア政府が協力したかどうかについて、有権者の回党はほぼ半々に分かれた。48%はイエスと答え、49%はノーと答えた。
だが共和党の宣伝で、多くの人がロバート・ムラー特別検察官の捜査に不信感を抱くようになったらしい。ムラーの捜査手法に異を唱えた人は46%に上った。ムラーは選挙後にさらなる衝撃的な事実を明かすかもしれない。だが、選挙前に公表した情報が投票行動に有意な影響を与えたとは言えない。