期待の中国でも販売シェア半減に 韓国現代自動車はなぜ失速した?
デザインの平凡化
現代自動車は4年前、主力セダン「ソナタ」のデザインを刷新する際に、特徴だったスポーティーでしなやかな車体の曲線を取りやめるなど、「平凡化」という重大なミスを犯した。このことが、販売台数が減少する一因となった、と米国のディーラーや現代の元幹部は指摘する。
販売台数で米国最大の現代自動車ディーラーを経営するスコット・フィンク氏は、2014年に同社が米国ディラー約20人をソウルに招き、発表前の新型「ソナタ」を披露した時のことを鮮明に覚えている。
「あれを忘れることはないだろう。布が(ソナタから)取り払われたとき、部屋には20人ほどの人がいたが、拍手した人は1人もいなかった」と、フロリダ州を拠点とするフィンク氏は振り返った。
新型ソナタのデザインは、保守的でありきたりで、ディーラーや消費者にまったく受けなかったと、フィンク氏は言う。
「そして、何よりも、ただの価格競争になってしまった」と、フィンク氏は言う。
ソナタは2007年時点で、トヨタ自動車の人気セダン「カムリ」よりも10%程度安かったが、2014年にはカムリより高くなったと、米市場調査会社Edmund.comは分析。ソナタの米販売台数は、2010年には20万台弱だったが、昨年はわずか13万1803台だった。
現代自動車は、デザイン刷新やフィンク氏の証言内容について、コメントしなかった。
売り上げ低迷
一方、ロイターが取材した中国の重慶にある現代ディーラー4店では、今年発売された小型SUV「コナ」の中国モデルである「エンシノ」の売り上げが低調だという。
世界の自動車メーカーは、中国市場向けに仕様を変更し、後部座席のスペースをより豪華に仕上げることが多い。運転手を抱えている購入者が多いためだ。
「エンシノは売れない。単純に、中国市場に合わない」。重慶にある現代販売店のリウと名乗るマネージャーはそう語る。「大半の中国人は、より大きくて、より安くて、より見た目のいい車を好むからだ」
事情を知る関係者によると、現代自動車が立てたエンシノの年間生産台数目標は6万台だった。だが4月の発売以降、6カ月間の売り上げはわずか6000台強にとどまっていることが、当局への提出書類から明らかだ。
若い消費者が増えて市場トレンドの変化が速い中国では、新型モデルの開発期間を短縮すると、現代自動車のKoo Zayong副社長は、最近の決算発表の電話会見で述べた。
同社は8月、中国市場向けモデルの向上に特化した部門を設置した。7月には中国事業の責任者を交代させている。
だが、経済減速と競争激化により、中国事業の回復は「段階的」になる可能性が高いと、同社はロイターに文書で語った。