トランプが中間選挙でやり玉にあげる中米の移民キャラバン 今も米国目指して北上中
警察がヒッチハイクを手助け
6時間が経過し、エスコバルさんはヒッチハイクをすることにした。
少し先の地点では、メキシコ警察の警察官が、道行く自動車を止めては女性や子どもを乗せていた。
この警察官は、キャラバンを止める指示は受けておらず、援助する義務があると感じたと話した。この日は、母親と子どもたちのために10台ほどの自動車を止めたと言う。
だが、エスコバルさんは自分で車を見つけた。
ミニバンの座席に落ち着いた一家は、感謝の気持ちでいっぱいだった。
ピヒヒアパンの中央広場は、何百人もの移民で祭りと難民キャンプを一緒にしたような騒ぎになっていた。エスコバルさん一家は、子どもがいる人専用の倉庫のようなシェルターに向かった。
医療スタッフが、足から血を流した女性の傷口にヨードチンキを塗っていた。人々は洗面所に殺到し、水浴びをしに川に走った人たちもいた。
午後には、シェルターは人いきれでむせ返るほどになった。エスコバルさんは外に出て、木の下にビニールシートを敷いた。あと2つ町を越えれば、「ラ・ベスティア(野獣)」と呼ばれる北行きの貨物列車に乗れるのだ。
周りでは、疲れきった大人たちが眠りこけている。
だがアドナイ君は、3本目の水のボトルを取りに駆け出した。デンゼル君は、木に登っている。
「この子たちは、大人と同じぐらい強い」と、エスコバルさん。翌日の出発は午前3時。子どもたちは、また元気に動きだしてくれるだろう。
(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)
[ピヒヒアパン(メキシコ) 29日 ロイター]
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