韓国、模倣蔓延から著作権保護強化へ──中国による違法コピー対策で
ファッションデザインのコピーや盗用は広範囲に渡る上、裁判が長期化すると判決が下る頃にはトレンドが変わっている。商品価値は低下し、勝訴しても実益が小さいのだ。訴訟は金銭的利益より、市場に警告を発するという意味合いが強い。
'本物'を求める韓国人は大手百貨店やブランド直営店に出向き、市場では購入しない。市場で販売されているブランドは偽物と考える人が多く、店も外国人にのみ販売する。偽物として販売する事業者もいるが、精巧な偽物が多く、判断は難しい。
製菓やファッションだけではない。海賊版のDVDやゲームソフトが公然と売られ、映画や音楽を違法配信するサイトも複数ある。マイクロソフト社のWindowsや各種アプリケーションソフト、フォントなどの違法コピーは日常的に行われ、漫画配信サイトのウェブトゥーンは違法コピーが合法市場の30%に達すると業界は推定する。
さらに、偽薬は食品医薬品安全処が流通を水際で阻止したが、2012年には原子力発電所がコピー部品疑惑で稼働を停止したことがある。納入された部品の品質検査証に偽造が見つかったのだ。
中国によるコピーで、韓国は違法コピー取り締まりを強化?
いっぽう韓国検察は2012年に1兆4282億ウォン(約1179億6900万円)の違法コピーを摘発している。韓国の最高裁に相当する大法院は、日本で制作されたキャラクターの著作権を韓国でも保護すべきという判決を下し、2015年12月にうさぎのキャラクター「ルシュクル」に似せた中国製ぬいぐるみを輸入販売した事業者の実刑が確定した(中央日報)。
また、2018年6月、文化体育観光部著作権特別司法警察が関税庁等と合同でピカチューなどのコピー品を輸入販売した業者を摘発し、3億ウォン(約2965万円)相当の違法コピー品を押収している。
韓国政府の著作権保護強化は、中国における韓国ブランドのコピー拡大と重なる。「サムスン(Samsung) Anycall」を模した「Samsong Amycall」や「Lock & Lock」 を模した「LQCK & LQCK」が登場し、オリオンの製菓「コレパプ」のコピー品「パプコレ」が流通した。ちなみに、コレパプは森永の「おっとっと」の模倣を疑われている製品でもある。日本や欧州のブランドをコピーしてきた韓国が、今度は中国にコピーされる立場になっている。そうした事態をふまえて、韓国政府も著作権保護の姿勢を強めているようだ。