中国アフリカ協力フォーラムで世界制覇を狙う──後押ししたのはトランプの一言
トランプのこの「くそったれ国家」発言に対して全アフリカ諸国54カ国の国連大使が緊急会合を開催して、1月12日、「常軌を逸した人種差別的な発言だ!」と非難し、謝罪を求める共同声明を発表した。また、アフリカ連合(AU)の報道官は「くそったれ国家」発言について、「多くのアフリカ人が奴隷としてアメリカに連れて行かれたという歴史的事実に照らせば、到底受け入れられるものではない」として在米のアフリカ系住民にも抗議活動を呼びかけた。
全米各地でも抗議デモが起きたが、アメリカとアフリカ以外の国で、これを「チャンス」とばかりに大きく取り上げたのが、ほかならぬ習近平なのである。
だからこそ習近平は9月3日の中国アフリカ協力フォーラムの開会挨拶で、「アフリカ諸国の皆さんは、中国の永遠の友人だ。私は皆さまとの友情を大切にしたい。この熱い団結を誰も破壊することはできない!」と呼びかけたときには、拍手が鳴りやまず、挨拶が終わると、3000人を超える着席者が立ち上がりスタンディング・オベーションが広い会場を揺り動かした。
こうして、習近平はアフリカを自らの傘下に収めることに成功したのである。
習近平を始めとした新チャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員7人)の全てと王岐山国家副主席が出席したことからも、習近平が如何にこのフォーラムを重視しているかがうかがわれる。
「新植民地主義ではない」と自ら否定した習近平
習近平は開会挨拶の中で、自ら「世間では中国の善意を新植民地主義と非難する声があるのを知っている。しかし中国には決してそのような意図はなく、返済能力に見合った貸付しかしないし、そもそも拠出金600億ドルのうちの150億ドル(約1兆7000憶円)は無償援助と無利子借款である」として、中国による援助で途上国が債務返済に苦しむということはないと主張した。
南アフリカのラマポーザ大統領も「中国を中傷しようとしている者たちが唱えるような新植民地主義がアフリカに広がりつつあるという見方には賛成できない」と挨拶で述べ、国連のグテーレスも「中国がいかに開放的で、開発途上国のために貢献しているか」と絶賛はしたが、果たしてそうだろうか。
新植民地政策であることは、随所で垣間見られるが......。
ジブチにアフリカ最大の国際自由貿易区
たとえば、中国は東アフリカのジブチにアフリカ最大の自由貿易区を創っている。世界屈指の活発な交易ルート上に位置する戦略的要衝という利点を活用し、世界の貿易・物流ハブとなることを目指す。7月5日に落成式を執り行ったが、中央テレビ局CCTVは、毎日のようにジブチと中国の結びつきの重要性をがなり立てるように報道している。