最新記事

アメリカ事件

飢餓状態の子供11人が保護された謎の施設、学校を襲う銃乱射を訓練か

Dead Boy’s Body Discovered on Site Where 11 Starving Children Held Captive

2018年8月9日(木)14時06分
ブレンダン・コール

電気も水道もない砂漠のバラックで、子供たちはどんな生活をしていたのか Taos County Sheriff's Office/REUTERS

<児童虐待容疑で逮捕された容疑者は、アフリカのイマーム(導師)を名乗り、成人女性3人をマインドコントロールで支配していた。遺体で見つかった少年は息子とも>

ニューメキシコ州の警察が飢餓状態の子供11人を救出した砂漠の中の施設で、新たに少年1人の死体が発見され、ますます謎が深まる不可解な事件に衝撃が広がっている。

警察は父親と共に行方不明になったジョージア州の少年の捜索のために、先週この施設を手入れし、劣悪な環境に置かれた1歳から15歳までの子供たち11人を保護したが、その中には行方不明の少年はいなかった。その後8月6日に施設内で死体が見つかった。

ニューメキシコ州タオス郡のジェリー・ホグリフ保安官によると、検死解剖は行われたが、この死体が行方不明のジョージア州の少年アブドゥル・ガニ・アハジなのかは確認できていないという。

「死体が発見された日は、奇しくもアブドゥルの4歳の誕生日だった」と、保安官は記者会見で沈痛な表情を見せた。

アブドゥル・ガニの父親シラジ・ワハジは11人の救出時に施設にいて、息子を連れ去った容疑と児童虐待の容疑で逮捕された。施設は地面に半ば埋まったトレーラーハウスの周りに築かれたバラックで、電気も水道も通っておらず、ホグリフ保安官によると、子供たちは「第三世界の難民のような不衛生な状態に置かれていた」という。

dokusen180809-1.jpg(アブドゥル・ガニの父親シラジ・ワハジ)

「悪魔払いの儀式」を行う?

施設にはワハジの2人の姉妹を含む3人の女と、ワハジの共犯者と見られる男1人もいて、彼らも虐待容疑で逮捕された。警察によれば、女3人はワハジに完全にマインドコントロールされている様子だったという。

ワハジは、ブルックリンのモスクを拠点とする著名なアフリカ系イマーム(導師)シラジ・ワハジの息子で、父親の名前をそのまま受け継いだ。

ワハジの妻ハキマ・ラムジによると、夫妻の息子アブドゥル・ガニは病弱で、ひんぱんに発作を起こし、夫妻はそのことで悩んでいた。

裁判所に提出された書類では、ワハジは息子に「悪魔払いの儀式」を行うと妻に話して、息子を連れ出したとされている。

しかしラムジによるとこれは間違いで、夫が行おうとしたのはイスラム教の厄払い「ルキア」だという。

「悪魔払いではない。裁判所の通訳が間違えたのだ。夫はただ息子の回復を祈ろうとしただけだ」と、ラムジはCNNに語った。

ラムジによると、夫は息子と公園に行くと言って家を出たまま帰らなかったという。

この施設でワハジらは、学校で銃乱射テロを起こさせるために子供たちを訓練していた疑いも持たれている。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国副首相が米財務長官と会談、対中関税に懸念 対話

ビジネス

アングル:債券市場に安心感、QT減速観測と財務長官

ビジネス

米中古住宅販売、1月は4.9%減の408万戸 4カ

ワールド

米・ウクライナ、鉱物協定巡り協議継続か 米高官は署
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中