最新記事

アメリカ社会

世界でもっとも安全でも「不人気」なトランプタワー 火災で死亡の美術商が露呈

2018年4月17日(火)15時40分


空港並みのセキュリティ

トランプタワーの訪問客は、シークレット・サービスによる空港スタイルの保安検査を通らなければならない。ブラスナーさんは、トランプ大統領がニューヨークにいる間は、建物に入るのに数時間も待たされることに苦痛を訴えていた。

トランプ氏の当選直後にタワー周辺で盛り上がった抗議活動は、今では鎮静化している。だが一部住人は、大統領に強い反感を抱いたままだという。ニューヨーク市では、2016年の大統領選で民主党候補ヒラリー・クリントン氏の得票率が87%に達していた。

不動産会社ケラー・ウィリアムズNYCで営業を担当するリチャード・タイヤー氏は、選挙後、複数の物件オーナーがトランプ氏との繋がりを絶つために自宅を売りに出したと話す。

「(建物の)名前が理由で手放したがる人々がいた」と、タイヤー氏は語る。今は、トランプタワーの2寝室ある部屋を380万ドルで売り出しているという。

「政治信条が違い過ぎて、一切関わりを持ちたくないのだ」

その一方で、海外バイヤーの多くは現在も、トランプタワーを優良物件と見ており、五番街というロケーションを欲しがるという。

「買い取り価格を提示してくる人たちもいて、彼らはわざと低い価格を提示してくる」と、タイヤー氏は話した。

ニューヨークにある全ての「トランプ」ブランドの不動産価格が下落しているわけではない。ウエストサイドのリンカーンセンター近くに、1990年代から2000年代にかけて竣工したトランプ・プレイスの価格は上昇している。

トランプタワーに住むファッション業界の顧客には、ショーのためニューヨーク市内に滞在する時に部屋を利用するようにして、価格が回復するまで辛抱するよう助言している、とマイトランド氏は言う。

現在のトランプタワーの警備状況は「楽しいものではない」が、利点もある、とマイトランド氏。「あそこに住む人は間違いなく、恐らくこの街で、いえ世界で、最も安全なマンションに住んでいる」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

Andrew Hay

[12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、6月以来の高水準=ベー

ワールド

ローマ教皇の容体悪化、バチカン「危機的」と発表

ワールド

アングル:カナダ総選挙が接戦の構図に一変、トランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中