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葬式にストリップを呼ぶのは親孝行!? 中国農村部の慣習に当局がメス

2018年2月21日(水)19時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Arix CR-YouTube

公衆のエロは違法だけど「みんなが幸せであればそれで良いよ!」

実はこの葬式ストリップ、過去にも問題視され当局は廃止に向け動いた。ただ、こういった取り締まりは当局の一時的なもので、実際に進められることはなかったようだ。その証拠に、2015年に中国文化省が「社会的雰囲気を崩壊させる」として、ストリップ撲滅計画を発表したものの、依然としてこの慣習は続いている。

当局は葬式でのストリップを「非文明的」と批判している。批評家は「SNSのせいで農村部は完全に腐敗した」など、きつい言葉を浴びせている。

しかし、当の農村部の住民は葬式ストリップについて罪悪感はない様子。ある村人は言う。「みんなが幸せであればそれで良いよ!」

農村住民にIT専門書を提供する当局...

農村部の葬式ストリップについて専門家は、一辺倒に批判せず文化的側面に注目する。メディアの専門家クァン・ハイヤン教授は「文化人類学の観点から言うと、葬式で賑やかに振る舞うのは伝統だ」と説明する。

都市部の生活は、生理的な欲求も精神的な欲求も満たす場があるが、一方で農村部には性的表現ができる環境は少ない。「当局が提供するエンターテインメント施設は、住民のニーズに合っていないから、ポルノやネットストリーミングに流れる」

同紙によると、当局は農村60万カ所に書店を整備するために200億元(約3400億円)を投入したというが、いまだに効果は現れていない。書店に置かれた本は、ビジネス哲学やIT専門書など村人の二ーズとかけ離れているそうだ。

葬式ストリップは専門家やメディアによって叩かれているが、一部の少数派は当局に対し、農村住民の精神的豊かさを充実させる取り組みを求めている。福建師範大学のフアン・ジャンシン教授は葬式ストリップを「悪習」とは見なしていない。「やみくもに批判するより、当局が農民により良い文化的製品を提供することが重要だ」と指摘する。

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