トランプ政権誕生1年 ロシアが味わった「幻滅感」
トランプ、プーチン両大統領は関係改善の希望を口にするだろうが、両国関係は、冷戦期に見られた緊張緩和のためのコミュニケーション経路もないままに、悪化の一途をたどっているという。
ロシアはトランプ政権に対し、オバマ政権時代に米当局が差し押さえたロシア外務省関係の資産2件を返還するよう求めているが、何の成果も得られていない。報復として、ロシア政府は国内にある米国資産の差押えに踏み切った。プーチン大統領は昨年、在ロシア米国大使館に対し、職員数を半減するよう命じている。
トランプ政権はウクライナ問題に関してもオバマ政権以上にロシアに対する圧力を強めており、ウクライナ東部における親ロシア派分離独立主義グループとの戦闘から抜け出せないウクライナ政府に対し、新規の武器供与を承認している。
トランプ政権はロシアを、米国の覇権に挑戦する「修正主義者(リビジョニスト)」と位置付けている。
ロシア政府は「クリントン氏でなければ誰でもいい」という願望で目がくらんでしまった、とRIACを率いるアンドレイ・コルチュノフ氏は語る。共和党政権の方が民主党政権よりも協力しやすく、トランプ氏の世界観にはロシア側と重なる部分がある、と思い込んでしまった。
「(ロシア政府に)警告した」とコルチュノフ氏は言う。
ゾフガルブゾフ所長は、ロシアのエリート層は、ロシアのように米国の政治制度においても大統領権限に対する制約はほとんどないものと勘違いしていたと言う。今となっては、できる範囲で協力することでダメージを最小限にとどめるくらいしかできることはない、と同所長は悲観する。
「トランプ大統領が(対ロ関係改善に向けて)何でもできるわけではない」と同所長は語る。「漠然と関係改善が望ましいとは言っていたが、どうすればそれを実現できるかはまったく分かっていなかった」
(翻訳:エァクレーレン)
[モスクワ 19日 ロイター]