ドイツ総選挙、メルケル首相が勝利宣言 右翼政党も国政初進出
9月24日、ドイツ連邦議会(下院)選挙の投開票が行われ、出口調査によると、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党の座を維持し、首相の4選が確実になった。写真は反移民正当に反対するデモ参加者。ベルリンで撮影(2017年 ロイター/Hannibal Hanschke)
ドイツ連邦議会(下院)選挙の投開票が24日行われ、出口調査によると、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党の座を維持し、首相の4選が確実になった。
メルケル首相はAfDの躍進についてドイツ国民への試練と表現、「もちろん、もう少し良い結果を期待していた」としながら、「われわれは第1党であり、次期政権を樹立する負託を受けた」と勝利宣言した。
ただ、難民受け入れに反対する右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持急増で、CDU・CSUは得票率を前回2013年の41.5%から32.9%に大きく減らした。首相は今後、改選前に比べ不安定な連立政権の運営を余儀なくされる見通し。
AfDは予想を上回る13.0%の得票率を獲得し、初めて国政に進出する。
一方、CDU・CSUの得票率は1949年以来最低、2位の社会民主党(SPD)の得票率は1933年以来最低となった。
ユーロの対ドル相場は25日朝方のアジア市場で一時0.4%超下落。選挙結果を受けて連立が難航する可能性が意識された。
メルケル首相が議会で過半数を確保する近道は、中道の自由民主党(FDP)と環境政党である緑の党との3党連立だが、国政レベルでの連立は経験がなく、連立交渉に数カ月要する可能性もある。
過去4年間、CDU・CSUと大連立を組んでいたSPDの得票率は20.6%にとどまり、戦後のドイツを引っ張ってきた2大政党の退潮が鮮明になった。
SPDのシュルツ党首はCDU・CSUとの連立を拒否し、最大野党として政府と対決していく意向を示した。
24日の選挙では、6政党が連邦議会の議席を獲得。これまでの4政党を上回った。
ドイツの週刊紙ツァイトの発行人兼編集人、Josef Joffe氏は今回の選挙で「ドイツの政治に地殻変動が起きた」と指摘。メルケル首相が樹立を目指す可能性の高い3党連立は「非常に不安定だろう」と予想した。