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税制EU、グーグルなどネット大手へ増税か タックスヘイブン対策も検討
9月21日、欧州連合(EU)欧州委員会は、大手インターネット企業への課税引き上げに向けた税制改革を実施する可能性があることを明らかにした。写真はフランスのボルドーで昨年8月撮影(2017年 ロイター/Regis Duvignau)
欧州連合(EU)欧州委員会は21日、大手インターネット企業への課税引き上げに向けた税制改革を実施する可能性があることを明らかにした。他の先進国が同意しなくとも増税を進める考えで、米国などの反発を招く恐れがある。
EUは、米アルファベット 傘下のグーグルなどネット大手に対する公正な課税制度に関して先進国間の見解がまとまらない状況が続いていることに不満を抱いている。こういった企業の欧州での平均課税額は他業種の半分以下となっている。
欧州委員は、EU内あるいは複数のEU加盟国間で速やかな合意が可能とみられる3つの案を提示。ネット企業の課税ベースを利益から売上高に変更する、あるいはネット広告を課税対象にする、またはネット企業に支払われる代金に源泉徴収税を課すという内容となっている。
長期的には、特定の国で広範に事業を展開しているが物理的な事業所などがない場合でも、税率の低い国などに利益を移転することなく事業を行っている国で課税できる仕組みづくりを目指している。
EUはこのような課税制度について、米国や日本などを含む経済協力開発機構(OECD)加盟国間で合意することが望ましいと考えている。
ただ、欧州委のドムブロフスキス副委員長は記者会見で「国際的に進展がなくても、EUは行動するための準備を整える必要がある」と強調。関連法案は来春公表する可能性があると述べた。
EU加盟28カ国はまず、12月までに合意をまとめる必要があるが、一部の諸国はすでに反対を表明している。
欧州委はまた、税率の低いルクセンブルクやアイルランドがネット大手への増税を阻止することがないよう、EU条約の1つの条項に基づいて税制問題に関する加盟国の拒否権を無効にする可能性についても検討している。