最新記事

インドネシア

「次の次のインドネシア大統領」が語るイスラム急進化の真実

2017年8月18日(金)16時10分
長岡義博(本誌編集長)

分断についてだが、いかなる選挙でも分断は生まれる。アメリカ大統領選もそうだった。ジャカルタも含め、ソーシャルメディアは二極化している。実際の生活でも人々は二極化しているが、ソーシャルメディアほどではない。

私はいかなるグループと会うことも躊躇しない。いかなるジャカルタ市民も候補者と会う権利がある。極右のFPIとも極左とも、最上層の人々とも底辺の人々とも会った。不幸なことにメディアは極右にだけ関心をもつ。キリスト教徒とも仏教徒ともヒンドゥー教徒とも会ったのだが。われわれは現実を見失いがちだ。

私は民主主義を信じるリベラルな人間だ。誰もがいかなる考えも持つ権利を保障されている。もし誰かが「地球は四角い」と言っても、私には「地球は丸い」と強制する権利はない。もし誰かが私に強制したら、警察を呼ぶが(笑)。

分断解消のためには、第1に各勢力とコミュニケーションを取る。第2に、いかなる人にも(ジャカルタの行政に)参加してもらう。スラム問題が深刻だが、私はバスキ支持者にこう言った。「私を好きになってくれなくていいが、貧しい人々を一緒に助ける取り組みに参加してほしい」と。第3に格差問題に取り組む。格差あるところに協調なし、だ。

わが陣営は58%の得票率で勝ったのだが、ジャカルタ市民の58%が極右だなんて、そんな話は信じられない。インドネシア科学院(LIPI)の調査によれば、バスキ陣営は選挙運動で宗教問題に集中しすぎた。われわれは政策にフォーカスした。

【参考記事】南シナ海の一部海域に独自の新名称 インドネシアが中国に対抗

――ジョコ大統領の与党である闘争民主党(PDIP)、そしてジョコ大統領との関係はどうなるのか。

私は14年の大統領選でジョコの広報官だった。広報官だったから関係は緊密だった。そして当選後、教育相に任命され、自分の責任として教育問題に取り組んだ。そして16年、ジョコは私を閣外に出すことを決めた。知事選に出ることなど考えたこともなかったが、世論調査で私の名前が候補者として挙がり、準備を始めた。

大統領のチームとも闘争民主党とも個人的なつながりは維持している。選挙で闘争民主党はバスキを支持したが、私は中央政府のジャカルタでの事業を支持する。ジャカルタが中央政府の事業やジョコ大統領を邪魔することはない。私が戦ったのはバスキであり、大統領ではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国全人代、民族団結法可決 中華民族帰属意識を促進

ワールド

ホルムズ海峡で船舶攻撃相次ぐ、米軍は護衛要請に応じ

ビジネス

ホンダが初の通期赤字転落へ、最大6900億円 EV

ビジネス

今年の独成長率、エネ高騰持続なら0.6% IFO予
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 7
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 10
    2万歩でも疲れない? ディズニー・ユニバで足が痛く…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 9
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中