北朝鮮の核危機、「仲介役」としてスウェーデンが浮上
8月11日、米朝間で核戦争の危機が高まるなか、スウェーデンが、北朝鮮との特別な関係を利用して、「仲介役」として働くことは果たして可能なのだろうか。写真は、北朝鮮の故金日成主席と金正日総書記の肖像画。平壌で4月撮影(2016年 ロイター/Damir Sagolj)
スウェーデンが1970年代に輸出した大量のボルボ車は、いまも北朝鮮の街道を走っているが、いまだ支払いが行われていないという。
このディールは商業的成功をもたらさなかったものの、スウェーデンが、国際的孤立を強める北朝鮮との間に古いつながりを築いていることを、改めて思い起こさせる。米朝間で核戦争の危機が高まるなか、スウェーデンが、この特別な関係を利用して「仲介役」として働くことは果たして可能なのだろうか──。
米国は北朝鮮と正式な外交関係を樹立しておらず、北朝鮮のミサイル・核兵器プログラムを巡る緊張を緩和するうえで、両国の選択肢は限られている。
一方のスウェーデンは、秘密主義の北朝鮮政府に対して、重要な外交的役割を担っている。西側諸国の市民がトラブルに巻き込まれた場合には特に、西側を代表して行動することが多い。
現在の危機に対応して、スウェーデンが米朝間の仲介役として動くことは不可能ではない、とスウェーデン国際問題研究所のアソシエートフェローであるウルブ・ハンセン氏は指摘する。
「スウェーデンはこれまで数え切れないほど、そうした役割をこなしてきた。とりわけ、監禁された米国人に関して」と同氏は語る。「戦争勃発寸前にある米朝の仲介役を担うことは、間違いなく非常に困難な仕事だが、スウェーデンには、米国だけでなく、北朝鮮からの信頼も得ているという強みがある」
スウェーデン外務省はコメントを控えた。
歴史的つながり
今月北朝鮮から解放されたカナダ人牧師ヒョンス・リム氏、そして6月に解放された米国人学生オットー・ワームビア氏に対してスウェーデンが果たした役割の背景には、朝鮮戦争末期までさかのぼる四半世紀近い歴史的つながりがある。これは他の西側諸国にはないものだ。