トランプ政権、北朝鮮に強硬発言でも実行可能な選択肢は多くなく
4月16日、トランプ米大統領(写真左)は北朝鮮による一連のミサイル発射実験を受けて強硬発言を繰り返しているが、歴代米政権が苦慮してきた同国への対応を巡っては、選択肢が限られているというのが現状のようだ。フロリダ州で13日撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)
トランプ米大統領は北朝鮮による一連のミサイル発射実験を受けて強硬発言を繰り返しているが、歴代米政権が苦慮してきた同国への対応を巡っては、選択肢が限られているというのが現状のようだ。
米国が取り得る対応策は概ね、経済制裁、秘密工作、外交交渉、軍事力の4グループに分けることができる。
経済制裁
北朝鮮にはすでに貿易規制、資本取引規制、武器の禁輸措置など、多岐にわたる経済制裁が科されており、世界で最も厳格な制裁の一つとなっている。
ただ、米議会調査局による昨年の報告書によると、「アナリストの大半は、米国などによる制裁が北朝鮮による核兵器能力の追求を阻止できてないと指摘」しているという。
ロイターは先週、トランプ政権の当面の北朝鮮戦略は経済制裁の強化を柱としており、石油禁輸措置や国営航空会社の運航制限、船舶貨物検査、北朝鮮と取引のある中国の銀行への制裁などが含まれる可能性があると報じている。
秘密工作
米国はイスラエルの協力の下で、「スタックスネット」と呼ばれるコンピューターウイルスを使い、イランのウラン濃縮で使われる多数の遠心分離機を破壊した実績がある。
ロイターは2015年に、米国が09─10年にスタックスネットの一種を使って北朝鮮の核兵器開発プログラムに同様の攻撃を仕掛けたが失敗したと報じている。
同プログラムに詳しい情報機関の元高官は、北朝鮮の徹底した秘密主義と極度に隔離された通信システムが失敗の原因だったと説明。
秘密工作に近い別の手法としては、電子戦やサイバー攻撃によって北朝鮮が発射中あるいは発射直後のミサイルを停止させることが考えられる。
北朝鮮のミサイル実験の失敗率が高いことから、米国がすでにこのような攻撃を実施しているとの観測もある。
外交
トランプ政権は、北朝鮮の核ミサイル開発を巡る2国間協議を再開することに対して前向きな姿勢を示してはいない。