人民元安続くとの見方強まる、当局は資本流出対策に躍起
12月5日、中国当局は資本流出を阻止するための対策に躍起だが、市場では人民元の下落と資本流出の循環が続くとの見方が強まっている。写真は人民元紙幣。北京で2011年3月撮影(2016年 ロイター/David Gray)
中国当局は資本流出を阻止するための対策に躍起だが、市場では人民元の下落と資本流出の循環が続くとの見方が強まっている。
人民元が対ドルで30%下落すると唱え続けてきた米国の著名ヘッジファンド・マネジャー、カイル・バス氏は、現在の資本流出が自身の見方を裏付けていると言う。
バス氏はロイターに対し、「中国の資本流出は見かけ以上にひどい。だから政府はここ2カ月、人民元の下落を容認しているのだ。米国の金利が上昇する見通しなので、元の下落圧力は続くと考えている」と語った。
人民元は今年に入って約6%下落し、2日時点で1ドル=6.90元弱となった。
報道によると、朱光耀・財政次官は3日、当局が資本流出を注視していると述べた。
複数の関係筋が2日語ったところでは、中国最大の外為銀行である中国銀行は上海で、法人顧客の外貨購入を最大100万ドルまでに制限し始めた。
関係筋によると、中国国家外為管理局(SAFE)は従来、5000万ドル以上の海外送金について調査していたが、現在は対象を500万ドル以上に引き下げた。
足元の人民元の下落を受けて、市場では元の売り持ちが大幅に増えている。
米ゴールドマン・サックスは来年の推奨トレードの第2位にドル買い・人民元売りを挙げた。中国国内の人民元取引は厳しく管理されているため、オフショアの期間1年のフォワード取引を使うよう勧めている。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のアジア新興国市場ポートフォリオ管理責任者、ルーク・スパジク氏は、人民元が着実に下落を続けると見ている。「大雑把に言って、毎年5─7%のペースで下落すると考えるのが妥当だ」と言う。