自由主義的な世界秩序の終焉
2016年7月1日(金)16時00分
私は内心、思う。欧米にアメリカ政府の欧州への関与を必死でつなぎ止めようとする人が非常に多いのはこのためではないか。強硬なロシアが怖いというより、ヨーロッパ自身を恐れているのではないか。自由主義者の願いは、平和で寛容で民主的なヨーロッパがEUの枠に収まっていてくれることだ。最終的には、旧ソ連のジョージア(グルジアから呼称を変更)やウクライナもヨーロッパの民主主義圏に引き込みたいと夢見ている。
同時に彼らはヨーロッパに今の状況を収拾できるとは思っておらず、アメリカという安定剤がなくなればすべてが瓦解すると思っている。ヨーロッパ版の自由な社会は繊細過ぎて、永遠にアメリカから乳離れできないと。
彼らが正しいのかもしれない。だがアメリカの資源は無限ではないし、永遠に裕福な国々の防衛を支援することなどあり得ない。だとすれば、ヨーロッパにかろうじて残った自由な秩序を守り続けるには世界のどこか別の場所を犠牲にしなければならない。自由主義者にその用意はあるのだろうか。
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