イギリス新首相に歴代2人目の女性テリーザ・メイが就任、仏独首脳に「交渉準備に時間必要」
7月13日、英与党保守党のメイ新党首が首相に就任した。演説するメイ氏(2016年 ロイター/Toby Melville)
英与党保守党のテリーザ・メイ新党首(59)が13日、首相に就任した。女性首相は英国史上2人目で、故マーガレット・サッチャー氏以来となる。
メイ氏はエリザベス女王からの任命を受けた後、ダウニング街の首相官邸前で就任後初となる演説を行った。先の国民投票での欧州連合(EU)離脱決定を受け、国としての新たな役割を構築していくと言明。「国民投票を経て、われわれは未曾有(みぞう)の変化の時を迎えている」と語った。
その上で「グレート・ブリテンだからこそ、われわれは困難に立ち向かっていける。EUを離脱し、国際社会において大胆かつ新しい、前向きな役割を築いていこう」と訴えた。
メイ首相は演説で、国民の多くが「激しい不公平」に苦しんでいると指摘。貧困層の平均余命がより短いことや、アフリカ系国民に対してより厳格な刑事司法制度、男女の賃金格差、若年層の住宅購入が困難になっている状況などを挙げ、「わたしが率いる政権は一握りの特権階級ではなく、国民の利益によって動かされるものになる」と述べた。
首相は今後、EU27カ国との交渉を進める中、英国の貿易および投資への悪影響を最小限に抑えるよう努めていく必要がある。国民投票で露呈した国内の分断の修復も課題となる。
メイ首相はドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領と電話会談を行い、EU離脱交渉の準備に時間がかかると伝えて理解を求めた。
報道官は「メイ首相は電話会談で、EU離脱という英国民の決意を行動に移すことに注力していると強調した。交渉の準備に時間が必要だと説明し、交渉が建設的で前向きな姿勢で行われることを望むと伝えた」と述べた。
メイ首相は就任後に新政権の主要閣僚を発表。財務相にはキャメロン内閣で外相を務めたフィリップ・ハモンド氏を任命した。ハモンド氏はジョージ・オズボーン氏の後任となる。