搾取されるK‐POPのアイドルたち
韓国の儒教文化においては、特に女性アイドルの恋愛スキャンダルは命取りになりかねない。例えば、女性アイドルグループ「 f(x) 」(エフエックス)のメンバー、ソルリは14年にラッパーとの交際を認めたことで人気が急降下。翌年にグループを脱退した。
ところが、交際相手のチェジャはスキャンダルを乗り越えただけでなく、バラエティー番組でこの件をネタにすらしていた。「性に関することについては、女性に対し時代遅れの儒教の規範をいまだに求める一方、男性は好き勝手できる社会だ」と、アイルランド国立大学コーク校で韓国について教えるケビン・コーリーは言う。
【参考記事】北に翻弄される韓国の情報機関
幸い、業界の女性蔑視の風潮に一石を投じるような歌も出てきている。女性アイドルグループ「miss A」(ミスエイ)は「男なんか要らない」という曲をリリース。同じように「MAMAMOO」(ママムー)のメンバー、ファサはソロで出した曲で「かわいくなくたって隠れる必要はない」と歌った。
女性アイドルに幼さを求める風潮も問題視されている。IU(アイユー)は昨年出した「トゥエンティー・スリー」で、女性には大人になっても子供のような外見が求められると、自分が感じるプレッシャーを歌った。
フェミニズム的な流れはいくつか見られるものの、K−POP界ではそれすら整形と同じようにつくり上げられた偽の姿かもしれない。女性パワーは魅力的だが、この業界はフェミニズムさえも商品化してマーケティングに利用しかねないのだから。
From GlobalPost.com特約
[2016年6月 7日号掲載]