搾取されるK‐POPのアイドルたち
「男なんか要らない」と歌う miss A Lee Jae Won-REUTERS
<韓国発K‐POPが各国で人気を集める一方で、芸能事務所が強いる美容整形やギャラ分配の「奴隷契約」など、女性蔑視が横行する業界は深刻な問題を抱えている>
韓国のポップミュージック、いわゆるK−POPは問題を抱えている。売れていないわけではない。日本やタイなどアジアでの人気に加えて、中東や南米でも注目されている。
それより問題はK−POPにおける女性歌手の待遇だ。高いエンターテインメント性によって業界は大きな利益を上げているが、その巨万の富は若い女性たちを性的な商品と見なして搾取することでもたらされている。
搾取されているのは男性歌手も同じだが、女性アーティストの場合はそれ以上に業界のダブルスタンダードに苦しんでいる。
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女性蔑視的な音楽ジャンルはK−POPに限ったことではない。日本や中国のポップス界も人のことは言えないし、アメリカのヒップホップの歌詞はもっとひどい。ただしアメリカの場合、ジェニファー・ロペスがセクシーに腰をくねらせても、そのダンスのうまさは誰もが認めるところ。レディー・ガガの歌唱力に異を唱える者もいない。
ところが韓国の音楽界では、才能は二の次で外見の美しさがすべてなのだ。アイドルグループ「タヒチ」の元メンバー、サラ・ウォルフガングはオーディションを受けたとき、「歌が下手だったけど」歌唱力は採用基準ではなかったと振り返る。だってK−POPは「(歌も顔も)すべて修正できるから」。
韓国のアイドルは男女とも、デビュー前に芸能事務所から美容整形手術を強いられることがよくある。この国では高校卒業を祝って、鼻を高くしたり目を二重にする手術を親が子供にプレゼントすることも少なくない。英BBCは05年、韓国の20代女性の5割が何らかの美容整形をしていると報じた。
スキャンダルは命取り
アイドルについては「奴隷契約」も指摘されている。ギャラのほとんどを事務所に持っていかれ、アーティストの取り分が少な過ぎる問題だ。さらにデビュー前の訓練生は寮に入れられて歌とダンスを教え込まれるが、この間の男女交際は禁じられる。