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貿易中国、米国との貿易摩擦解消へ7分野で輸出補助金廃止
対象となるのは特殊製品に特化、米鉄鋼業界の不満は全面解消とはならず
4月14日、米国は中国が鉄鋼やアルミニウム、農産品などに広く支出していた輸出補助金の廃止に同意したと明らかにした。写真は河北省の鉄鋼パイプ工場で昨年11月撮影。(2016年 ロイター/ Kim Kyung Hoon)
米通商代表部(USTR)は14日、中国が鉄鋼やアルミニウム、農産品、繊維製品などに広く支出していた輸出補助金の廃止に同意したことを明らかにした。
USTRはこの日の声明で、中国が「実証基地・共通サービス基盤」と呼ばれる政策プログラムを廃止すると発表した。中国はこのプログラムに基づいて、7つの経済分野で中国企業に輸出補助金を支払っていた。
合意は、米国との貿易摩擦の解消に向けて中国が一歩歩み寄ったことを意味する。米中間の貿易摩擦は鉄鋼や農業、情報、金融など広い分野に及ぶ。
米国は約1年前、中国の政策が「不公平で、禁止されている輸出補助金を、広範に中国の製造業者や生産者に提供している」として世界貿易機関(WTO)に提訴した。
USTRのフロマン代表はこの日の声明で「合意は大規模で複雑な輸出補助金プログラムのあらゆる要素を是正するものだ」とした。「中国の動向を監視し、合意条件に従っているかどうか確認するためのしっかりとした基盤構築に必要な透明性を確保するものでもある」とも付け加えた。
USTRによると、中国の政策プログラムの下で補助金を受け取っていた産業には、繊維や軽工業、特殊化学製品、医療品、ハードウェア、農業、そして鉄鋼やアルミニウムなどの金属産業が含まれる。
特に鉄鋼は、中国の生産能力の余剰が米国の鉄鋼業を圧迫しており、米中間の火種となっていた。ただ、関係筋によると、今回の合意は特殊製品に特化しており、米国の鉄鋼業界の助けになるほど包括的なものではないという。USTRは昨年、中国が輸出業者に支払った補助金は3年間で10億ドルを超えると試算。いくつかの企業は少なくとも年間63万5000ドルを受け取ったという。WTOは昨年4月に米国の訴えを審査するためのパネルを立ち上げた。
中国は2001年にWTOに加入して以降、海外市場における「ダンピング」(不当廉売)で頻繁に訴えられている。WTOの規定で、輸入国は不当廉売の疑いのあるモノに対して報復関税をかけることができる。