朝韓間の経済交流即時無効を北朝鮮が――中国新華社が速報
北朝鮮からの石炭輸入停止は3月1日から実行
3月3日付の「環球外匯(外国為替)」lあるいは3月4日の「国際煤炭(石炭)網」は、「中国政府は業界関係者に、3月1日から、北朝鮮からの石炭と鉄鉱石の輸入を停止するよう命令した。日用品と食品の貿易に関しては、まだその指令を出していない」と報道している。
北朝鮮の現場報告として、高英起氏が「中国が石炭輸入を停止、北朝鮮国内に困惑広がる...制裁が本格化」と書いておられる。この記事により立証されているように、中国が3月2日の国連安保理決議2270号が議決される前日の3月1日から、実際上、独自制裁で北朝鮮からの石炭と鉄鉱石の輸入禁止を実行していたというのは、注目に値する。
中国では政府の無償支援としては、すでに2年前から石油の輸出をストップしているとのこと。中朝辺境貿易地区で民間企業を通して、改革開放を促すための貿易としてまだ石油の輸出を許していた。
しかし今年2月になって、「韓国メディアによると」という形の報道だが、中国では今年2月の時点で、すでに中朝貿易の50%を停止しており、北朝鮮の銀行に対する凍結も50%実施していたという報道がある。
日本の研究者の中には、「中朝蜜月」とみなす人がまだいるようだが、中朝関係はどこから見ても、「蜜月」などという情況は皆無だ。
ネットユーザーの90%以上が、北朝鮮を嫌悪し、金正恩のことを「金三胖(ジン・サン・パン)」と呼ぶのはまだいい方だ。「金三胖」とは、「金ファミリー三代目のデブ」という意味だ。「金猪(ジン・ズー)」(猪:豚の意味)という呼び方もある。
中国政府高官が金日恩を指すときには「小○子(シャオ・ホーズ)(○は人偏に火)」(あの若い奴)としか言わない。名前などで呼んだことさえない。
それくらい、中国政府も庶民も北朝鮮を嫌い、金日恩を危険視しているということだ。
今回の速報は、その危険視している「ならず者」の国家の一挙一動が、中国の安全・利害に影響してくることへの警戒感を示していると見ることができよう。
[執筆者]
遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。