党を批判したとして編集担当者を解雇――中国「南方都市報」
IT化時代の情報発信を警戒して言論弾圧を強化する中国 jpa1999-iStock.
2月20日にリベラルな報道で知られる中国の「南方都市報」が党を批判し習主席の重要講話を風刺する見出しを付けたとして、3月1日、編集担当者が解雇され副編集長にも厳重処分が下った。言論弾圧を強める中国の実態を追う。
抵抗を示した「南方都市報」
2月25日付の本コラム「メディア管理を強める中国――筆者にも警告メールが」に書いた通り、習近平国家主席は中国共産党の総書記として、2月19日、人民日報社、新華社、中央テレビ局を視察し、「党の新聞世論工作座談会(中国共産党メディア世論活動座談会)を主宰したあと「重要講話」を発表した。
翌2月20日の中国の新聞は、いっせいに第一面に視察をした時の習近平の写真とともに、この「重要講話」を載せた。
ところが一つの新聞だけ違っていた。
それが常にささやかな抵抗を示し、リベラル傾向を持つ「南方都市報」の深◯市版だった。
そこには以下の見出しがあった。ここでは日本文字で書くが、実際の見出しはウェブサイト「文学城」や「アップル・デイリー」などをご覧いただきたい。
党和政府主弁的媒体 (党と政府が主宰しているメディアは)
是宣伝陣地必須姓党 (宣伝の陣地で、党という姓でなければならない)
の下に
魂帰
大海
という文字がある。
各行の右端の2文字だけをつなげると「媒体姓党 魂帰大海」と読める。
つまり「党という名前を持つメディアの魂は死んでしまった」という意味となる。
おまけにこの見出しの下には、海に散骨している写真がある。これは1月末に99歳で他界した、深セン招商局の元常務副董事長・袁庚の家族が行なった葬式の場面だ。深◯市の新聞が深◯の改革開放に貢献した人物の鎮魂の場面を載せるのは、一見自然なように見える。
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最初は誰もこの「風刺」に気がつかなかったのだが、香港の「アップル・デイリー」が「異変」に気がついた。これは南方都市報の抵抗にちがいないと報じたのだ。
すると当局があわてて反応し、すぐさまウェブサイトにおけるこのページを削除し、「南方都市報」広東省版の第一面に差し替えられた。